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貴方を、護りたい・・
【純愛 恋愛小説】

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私のしてる事って-1

「それじゃまたのご利用お待ちしております!有難うございました」
宅配業者の制服に身を纏ったしゅうは客に頭の下げ、帽子を被り直し家を後にした
彼は、家事をしない母と妻と息子を捨て行方をくらました父のせいで家庭を支える為  宅配業者で身を削るような思いで働いて居る

「はぁ」
宅配を終えたその足取りは重く、暗いアスファルトに視線を落としていると

「おいっ!何グズグズしてんだ!次の指定時間に間に合わねーぞ!」
トラックから響く若い先輩の怒鳴り声にハッ!と顔を上げ、駆け足で先輩の元へ駆け寄り

道路を走るトラック、『チーター運輸』と記されていて
「おい、次の客の部屋番号105室だよな?」
キビキビと口を動かす先輩、ダガそれとは対象的に薄暗い窓に視線をやるしゅうに

「おいっ!ルームナンバー105であってるんだよなっ!」
イラッとし強い口調で怒鳴り、慌てて「はいっ間違いありません」と、とっさに返事をし

「どうしたんだよ」
冷静さを取り戻し彼に問いかける
「スイマセン、ちょっと体調が悪くて・・でも大丈夫です!」
あから様に顔色に異常は見当たらないがその表情は暗く

「着いたぞ」
車内の揺れが収まり先輩がマンションへ荷物を手にアスファルトを強く蹴り、しゅうも
その後を追い


「はぁ・・」
とある地元の喫茶店、窓に映る何事も無く普段と何の変わりも無くひたすら歩き続け人々
にぼんやりと視線を送る樹里奈
「・・大丈夫?アンタ」
樹里奈の前には喫茶店マスターお勧めの淹れたてコーヒーと普段となんも変わらない
友人の姿があって

「・・しゅう」
ふと昨夜の出来事を思い返す

「雨で冷え切った彼を自宅に招きお風呂に入らせてあげたり食事をご馳走してあげたんだってね」
春華の問いに答える事無く、コーヒーに移る自身の暗い表情に視線を落とし
「アイツ、あぁ言う事されるの嫌がるのよねー妙に遠慮がちつーか・・」

「ねぇ、春華・・」
か細い声で友に声を掛け春華も軽く視線を合わせ

「私のしてる事って・・何?」

「えっ?」
友の思い掛けない疑問に顔をポカーンとさせ

「私はただ彼が心配で・・彼を助けたくて色々・・と言ってもまだ大した事はしてない ケド、でもそれってホントに良い事なのかなっ?正しい事なのかな?」

「樹里奈・・」

「こないだずぶ濡れになってた彼を見かね思わず彼を風呂にいれたり食事をご馳走して あげたケド、それってやっぱ無茶苦茶よ」
「そんな事は・・アンタはただ」
「言われたよ!彼に『風呂だけでなく食事まで・・』『どうしてここまでしてくれるんだ』って、仕舞には「つい此間知り合ったばかりの君にとやかく言われる覚えは無い!』って・・」

此間の彼の言葉が鮮明に印象深く脳裏に入りこみ頭を悩ましていて
「樹里奈・・」
思わず悩める友に手を差し伸べようとし

「所詮私のやってる事、私の彼への想いは単なるお節介、彼の気持ちも考えずただただ私が見てられない可哀想だと思ってやりたい放題振り回して、どう考えたって可笑しいよね、つい此間あったばかりのクラスメートを家に入れて浴室に浸かせ・・食事を取らないのも当然よ」
二人の会話に序々に注文したコーヒーの温度が空気の方へと逃げ去って行き

「・・私、何してんだろ」
冷え切ったコーヒーに視線を落としその瞳が赤く染まっていく友に優しい声で

「別に良いじゃない、お節介だろうと可笑しかろうとそんなの関係無いよ」
「春華・・でも」
「確かに彼からしたらアンタのやってる事はお節介だし、彼の不幸な境遇を聞いて同情
しているのよ、ソレも深くね」
「でもっ!ソレは何も可笑しな事じゃないっ!、他人の不幸を自分の事の様に苦しみソレ
を全力で救ってあげたいっ・・それはとても素晴らしい事だと私は想う・・」
「・・春華」
友の言葉に弱弱しい彼女の瞼が序々に見開き、暗い霧が晴れた様な気分で

「有難う春華、まだちょっと自信は無いケドもう少し頑張って見る」
「うん、その調子ダゼッ!」
それから店員にコーヒーを温っため直すよう注文する


「いやー、悪いな佐藤君俺たちの所まで手伝ってくれて」
トラックや荷物が多く詰められている倉庫、そこに3,4人の従業員達がおり
「良いんですよ、どーせ時間も余ってますし」
「でも、休憩時間にダロ?それにさっきまで業者用の荷物運んでたろ」
横に居た後輩がボソリと「アレかなり重たいんだよなー」と愚痴り
同僚達に頭を下げ作業に取り掛かり

グィーピピッ
『出勤時間4:30退勤時間21:40』
とタイムカードに刻まれ、会社を後にするしゅう、ソコに

「あっ、佐藤君お疲れさん」
図太い声が廊下を響き渡せ、振り向き
「あぁ、部長」
「ご苦労さん、大変だろう学校だって在るだろうにこんなに」
「今日は休みですので問題はありません」
彼の言葉に「そう言う事じゃない」とでも言わんばかりに顔を濁らせ
そして彼は部長に挨拶をし会社を後にする
その寂しげに小さくなっていく背中を見つめる部長


真っ黒な住宅街、悪戯に照らし出される他所宅の窓、その先から子供の楽しそうな声や
バタバタと鳴る足音が彼の耳を苦しめ
アスファルトに視線を下ろし帰宅して居ると

「うおわっ」
「・・!」

誰かと衝突し咄嗟に顔を上げ謝ると見慣れた顔があった
「春華・・」
「おっとと、ありゃしゅう・・」
「どうしたの?こんな時間に」
「いやー、なんか皆急に肉まん喰いてぇーて言い出すモンだからジャンケンして私が
負けちまってさぁーそれで9個も肉まんを買いにコンビニにねぇ」
「君の家は大家族だもんな」
「うんにゃー、騒がしくって参るズラ、そう言うアンタこそどうしたの?」
「俺は・・うん俺もちょっとコンビニに」



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