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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈ホールドアップ!!〉-11

「く…あぁぁぁッ!!!」

『うぉッ…!!』


柄の尻を左手に握り、雄叫びをあげながら、ブラシの部分をハンマーのように打ち付けてくる。
そしてそれは、掴まれないよう八代の足のみを狙っていた。

通常、怒りに我を忘れると、顔面ばかり狙うようになるものだが、足を攻撃して動きを殺そうとするあたり、まだ景子は激情の中に冷静さを保っていると分かる。

拳に収まる拳銃とは段違いなリーチの長さに、さすがの八代も対応出来ず、太股やふくらはぎをバシバシと叩かれてしまう。
このままでは、身動きすら取れなくなってしまうのは自明の理だ。


『こ、このクソがぁッ!!』

「んむぅッ!!」


耐え兼ねた八代が掴み掛かった刹那、景子は槍のように突き、硬いブラシの部分で八代の顔面を殴打した。顔面を捉えられた驚きと激痛に、八代は顔を両手で覆ったままたじろいでしまった。

動きを止めた八代に景子は容赦しなかった。
思い切り振りかぶって足を叩き、腹部といわず胸部といわず突きまくった。
窮鼠猫を噛む。の、ことわざもあるが、絶体絶命のピンチを見事に逆転し、初めて主導権を握ったのだ。
ここが勝負と読んだ景子は、一切の手加減もない全力でもって八代を打ち据え、叩きのめそうとデッキブラシを振り回す。


『や、やめろッ!!やめろぉぉ!!』


泣き喚くように叫びながら、八代は逃げるようにブリッジの横にあるドアを開け、その中に駆け込んでいった。

景子は振り返った。

あの金髪男は甲板に倒れたままだし、部下達も怯えて動けないでいる。

ならば危険を覚悟で貨物船の中に突入するしかない。金髪男と八代を船外で打ちのめし、春奈と二人で船内にいるであろう優愛を助け出すとの本来の計画とは違ってはいたが、もうここまで来たら行くしかない。

虎穴に入らずんば虎児を得ず……追い詰められた八代が、優愛に何をするか分からないし、春奈を助け出している時間的余裕は無い……景子はデッキブラシをしっかりと握りしめ、貨物船の中へと突撃していった……。





八代の逃げ入ったドアを抜けると、そこは、ほんの少しの空間になっていた。
斜め右側に数段の登り階段と扉があり、左側には下りの階段があった。
右側の扉の曇りガラスから光が漏れており、その中を覗こうと思った瞬間、下り階段の方から八代の息遣いと、女性の泣き声が聞こえてきた。


(優愛!!)


間違いない。
あの声は妹の優愛だ。
景子は扉の向こうを確認すらせずに、階段を駆け降りた。

降りきったそこは、真っ直ぐな長い通路が伸び、その先に扉が見える。
人が二人くらいしか通れない狭い通路は、思うようにデッキブラシを振り回せるだけの余裕は無い。
ここは景子にとって、非常に不利となる空間だ。

その向こうから優愛の泣き声と、八代の息遣い、そして数人の男の声が聞こえてきた。



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