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透明な滴の物語U
【同性愛♀ 官能小説】

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先輩の企み-2

祐梨は聡美の言葉に甘えることにした。
白いレジ袋からヨーグルトとサラダだけの食事を取り出す祐梨を見て、聡美は怪訝そうな顔をした。
「あら、それだけなの?足りるの?」
「今、ダイエット中なんです。この前、昔のデニムを穿いたらきつくて」
祐梨はそう答え、食欲がないことは口にしなかった。

「ところで、昨日の夜の飲み会はどうだったの?仕事終わってから行ったんでしょ?総務の男の子たちも来たって聞いたわよ。どこのお店に行ったの?」
聡美は隣の椅子に落ち着くなり、昨夜の祐梨の行った飲み会のことを矢継ぎ早に訊いてきた。
祐梨のことを何でも知っておきたいとするその気持ちは、気になる片思いの異性を何でも知っておきたい気持ちと本質的に変わらないものだった。
「先輩は情報が早いですね」
祐梨は、昨夜の残業でたまたま総務からもらいたいデータがあり、途中から総務と共同の仕事になったこと。
祐梨の所属する広報セクションにも何人か残っていて、なんとなく仕事を切り上げて総務を誘い皆で飲みに繰り出すことになったことなどを話した。
そして帰りが遅くなり、帰宅時に寝ていた妹を起こしてしまったことで悩んでいることも話した。

ひとつひとつ聞き逃すまいと傾聴していた聡美だったが、ひと通り聞き終わると安堵した。
もっとも懸念された総務の男子と祐梨の間では、何事も起らなかった模様だったからだ。
「よかったじゃない、飲み会。たまには良いものよね、また行ってらっしゃい」
聡美は顔を緩ませると椅子の背もたれに身を預けた。
一方、祐梨は晴れない様子で悩みを話した。
「でも、もう深夜帰りはできないわ。昨日のことで真剣にそう思ったの。妹がね、来年受験生なの」
「そうなんだぁ」
最大の不安が消えた聡美は祐梨の話を落ち着いて聞いていた。
「もうあの団地の家は私たち姉妹には狭くなってきたのね。だからどっちかが出て行くしかないと思うんです。妹は大学受験があるし、私が出て行くしかないのよね」
「ふん、ふん。なるほど、そうかもね」
「だから私、地方に転勤することに決めました」
「え!?」
それを聞いた途端、聡美は顔をこわばらせ、背もたれから起き上った。


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