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『graduation』
【青春 恋愛小説】

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『graduation〜ウェディング〜』-5

「こっち帰ってきてからは月1で飲んでるよ。そうそう、3月に結婚するんだって。俺の広島行きの前。友人代表でスピーチ頼まれちゃってさぁ・・・」

本来、雪見だってスピーチを任されても良いような間柄だった筈だ。サークルの奴等と全て縁を切ったから仕方ないのかもしれないが、一時期、ツヅキと雪見はいつも一緒にいた。

奴等は双子のようなところがあって、打ち合わせもしていないのに全く同じことを口にしたり、同じお菓子を手土産に持ってきたり、同じところを同時に怪我したりしてしまうことが多々あった。

そう言えば、大切なゼミの発表がある日に俺が風邪をひいてしまって、なんとか体の辛いのをおして学校に来た時、2人はやはり打ち合わせもないのに、時間差でリポビタンを俺のところへ持ってきたっけ。「1日1本」という表示を無視して2本とも飲み干したのを、その日のゼミの発表の出来よりも覚えている。

そんな2人も4年になってツヅキに彼女ができると疎遠になったようで、2人で歩いているのは見かけなくなった。所詮、友情は愛情に適わない。

ふと我にかえると、いつの間にか雪見の酒が浦霞に変っていた。ありえないほど早い。

「ツヅキの奥さんになる人って、大学時代から付き合っていたコ?」

「そうそう。近藤亜紀ちゃん。あれ?俺はゼミで一緒だったから知っているけど、雪見は知ってるんだ?」

見ると、変な顔をしている。俺、変なコト言っただろうか・・・心配になって顔を覗き込むと、

「知らないの?」

雪見は不思議そうに言った。

「何が?」

「私が、卒業式の花束贈呈の時に、都築がひた隠しにしていた『彼女』の存在をサークルの皆の前で暴露しちゃったって話。いたじゃん。その場に佐伯・・・・・・。」

古い記憶を辿ってみる。・・・そんなことあったっけ?
確かに花束贈呈の時、俺はツヅキの側にいた。けど、英クラの可愛い女の子と久しぶりに再会しちゃって写真とか撮ってた気が・・・・・・

「すみません。全く知りませんでした。」

素直に謝ると雪見は

「ホント佐伯は何も知らないんだね。」

爆笑し始めた。

そういやツヅキは彼女がいることを俺以外には内緒にしていた。
それで女の子がやたら寄ってきて、亜紀ちゃんはすごく不安がっていた。
でも卒コンの時には何故かサークルの皆、ツヅキに彼女がいるのが前提で話は進んでいた。

(なるほど。雪見がバラしていたのか。ってか雪見には既に都築が亜紀ちゃんの存在を言っていたんだな。)

パズルのピースが巧くハマった気がした。

「雪見、それで罪悪感感じて卒コン来なくて、更にはうちのサークルと縁を切ったわけ?」

俺のその言葉に、雪見は珍しくちょっと動揺したようで、升をテーブルに置いた。

「いや、まぁそれだけではないんだけど・・・・・・」

口篭もる雪見。そうでしょうよ、と心で突っ込む。


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