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『graduation』
【青春 恋愛小説】

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『graduation番外編〜彼女が嫌いな彼女〜』-12

あたしたちはこうやってもう一生会うこともなく、連絡を取り合うこともなく、終っていくのだ。

そんな人間はこれまでにだって何人もいた。

けどどうしよもなくそれが『嫌』だった。

受け入れられなかった。

...だから、とても小さなことだったけど...自己満足以外のなにものでもなかったけど...あたしは雪見先輩の実家に毎年年賀状を書いた。

まるでストーカーのように毎年、毎年...そして今年で6通目。

返されない、一方通行の、一種のラブレター。

けれども......







母が渡してくれた『それ』は、一枚の絵葉書だった。

裏は安芸の宮島の風景をバックに、幸せそうに微笑む若いカップルの写真。

一行だけ添えられた【結婚しました】の文字。

雪見先輩の横にいる人の顔を見て、思わず笑ってしまった。

「陳腐なの〜」

思わず出たのはやっぱりその言葉。

大学時代には在り得ないだろうと思われたカップリング。

世界はあたしとは関係のないところで、確実に回っているらしい。

あまりに可笑しくて、笑いすぎて、涙が出てきた。

写真の雪見先輩にデコピンをしてから呟く。

「あたしにお裾分けしたいくらい幸せなんですか?」



写真の中の雪見先輩は満面の笑顔で微笑んでいた。



(終)


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