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殺人幇助財団エカフ
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トオルの場合-3

トオルは車のことは何も知らない。免許を持っていないから勿論運転もできない。

だから美佐子の店に行って、酔いつぶれた佐藤たちをトラックに乗せる仕事をやるのが精一杯だった。

美佐子は佐藤・塚田・米沢・栗田の4人の悪たれをサービスで酒を振舞い、徹底的に酔わせたのだ。

「さあ、ちょっとだけここで待っていようよ。

今トラックを運んでくれる人が来ているらしいから。

おっと、その姿を見ちゃいかないことになってるから、動いちゃ駄目だよ」

しばらくして美佐子の携帯が鳴った。

「はい、わかりました」

美佐子は錠剤をトオルに渡した。

「精神安定剤だそうだよ。

殺しの素人は感情が乱れてへまをするらしいから、とにかく冷静になることが第一ってことらしい。

もちろん私も飲むけれどね」

2人とも錠剤を飲むと美佐子が行った。

「じゃあ、私の軽で行くよ」

夜更けの山道をしばらく行くと、ぼんやりと佐藤の白いトラックが闇に浮かび上がって見えた。

そのときトオルの携帯が鳴った。若い女の声が聞こえた。

「ではトオルさん、よく聞いて下さい。

あなたのすることは運転席のドアを開けてサイドブレーキを外すことです。

そして車が動き始める前に素早く下りてください。

運転席には佐藤が座っているので、やりづらいと思いますが手早くやってください」

トオルは歩いて行ってトラックの運転席を開けた。

運転席から佐藤が落ちてきそうになるのを支えて助手席側に押し付けた。助手席には仲間の塚田が眠っていた。

米沢と栗田は荷台で寝そべっている。

「その赤いリボンを結んでいるところがサイドブレーキです。

まずその赤いリボンを解いてください。そしてそれを引っ張って右に回してから押し込んでください。

できましたか? それで完了です。ではドアを閉めて車から離れて下さい」

トオルは急いで車から離れた。けれど車は動かなかった。

「後ろから押してみて下さい。えっ? 動かない? 大丈夫です。

後は処理しておきます。戻って下さい」

トオルが戻りかけると車はゆっくり動き始めた。そして大音響を立てて崖から落ちて行った。

「完了です。後は美佐子さんの車の跡やトオルさんの足跡を消しておきますので、すぐにここから立ち去ってください」

それで電話は切れた。 

『死ぬ前にやっといてよかったな。……お互いに』

何故か佐藤のあの言葉が蘇っていた。





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