投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

殺人幇助財団エカフ
【その他 その他小説】

殺人幇助財団エカフの最初へ 殺人幇助財団エカフ 0 殺人幇助財団エカフ 2 殺人幇助財団エカフの最後へ

近江老人の場合-1

近江兼市(おうみ けんいち)は、そのサイトを終に見つけた。

「殺人幇助財団エカフ」

いつもURLを変えてネットの大海に彷徨う幽霊船のような暗黒サイトである。

彼は指定されたフリーメールに必要事項を書いて待っていた。

返事はすぐに来た。しかも宅配便でそれは届いた。

携帯電話だ。

その電話帳には「エカフ」の番号が登録されていた。

電話をかけると若い女性の声が応対した。

「近江さん、あなたの訴えのメールを読んで、エカフでは殺人幇助をすることにしました。

この殺人には一切費用はかかりません。

また、あなたにはできる範囲のことで実行犯になってもらいます。

すでに調査員があなたの住所の環境を調べて殺人計画を練っております。

ではまず、あなたが使っているパソコンを壊してください。

エカフとの接点の証拠を隠滅させる為です。

壊したときにその映像を送ってください。

また、エカフに関するメモや記録は一切処分してください。

その報告も含めて実行は急いで下さい」

近江は早速言う通りにした。

今度はメールで指示が伝えられた。

その内容は以下の通りである。

『あなたは明日道路公団が県道を除雪した後、歩道の除雪をして小学校の児童が通学しやすいようにして下さい。

その区間は次に示す通りです。

トラクターを使って歩道に積み上げられた雪を車道側に寄せるだけです。

幅は1mもあれば十分でしょう。

但し赤で印を付けた範囲だけは、歩道上の雪を全て車道に散らばしてください。

そこは日射時間が長く雪が夜までに溶けるので、そうした方が良いでしょう。

これは計画の為の第一段階ですので、丁寧に仕事をしてください」

近江は思った。いったいこれが殺人計画とどんな関係があるのだろうと。

きっと児童の通学路を除雪するというボランティア活動をすることで、後で自分に疑いがかかったときに、少しでも有利になるための伏線なのかなと思った。

近江は農家の親父なのでトラクターを動かすことくらいなんでもない。

言われた通り道路公団が除雪した後に歩道に高く積まれた雪に通路を作って行った。

途中で村人から声をかけられて笑顔で答えた。

「ああ、子供らが難儀してるからなあ。せめて歩きやすいようにと思ってよう」

そして,指定された場所では車道一面に除雪した雪を散らばした。

「さて、これは準備段階ということだけれど、本当にこの後実行計画が指示されるのだろうか?」

するとメールが届いた。

『エカフです。あなたが指示通りに仕事をしたのを確認しました。

次に今日は携帯と一緒に送った睡眠剤を飲んで早めにお休み下さい。

なるべく9時には寝るようにして下さい。

明朝また連絡します』

近江はなるほどと思った。

このところ毎晩10時すぎになると県道を爆音が聞こえる。

その為、村の住民は眠れない。

きっとその前に寝ておけということだろう。

こんな田舎に何故暴走族が来るのか分からない。

だが決まったように来るのだ。

そして村の外れまで行ってそこでしばらく大騒ぎをすると折り返して戻って行く。

夜の10時から11時の間は彼らの為に村の住人は悩まされる。

だが文句を言う者はいない。

村の若者の1人もそのメンバーで後は本町の11人。

その他に暴走族の本部から来ている3人が加わって15人がバイクで来るのだ。

もうこの県道はこの時刻は車が通らないから、対向車線も含めて道幅一杯に広がって3列でやって来る。

最初に文句を言った者もいた。

彼らに酷い目に合わされたのだ。

1ヶ月の重傷だったが、犯人は捕まっていない。

いきなり襲われて頭部などを叩かれた為、記憶が残っていないのだ。

だが、その彼は勇気を出して、道路上に出てたびたび若者たちに注意をしていたのだ。

それを鼻で笑って、バイクで取り囲みからかった後立ち去っていく彼らを見て何か魂胆があるとは思っていた。

そのことを本町の警察にも言ったが、本町には交番に2人しか巡査がいない。

そして彼らのことを恐れて注意すらできない状態だ。

また、彼らが村の娘を襲ったという話しも聞いた。

だが被害者の娘はそのことを誰にも言えずに泣き寝入りしているという。

それだけではない。3年前に近江は自分の孫を彼らに殺されている。

スピードを出しすぎて曲がりきれずに歩道に乗り上げたバイクが孫をはねてしまった。

救急車が来た時には、まだ6才の男の子の孫は死んでいた。

だが一緒に歩いていた子どもの証言が曖昧で、犯人は捕まっていない。

そのとき彼らが暴走していたのは確かなのだが、誰がやったのかは誰のバイクを調べてもその形跡がなかった。

きっと処分して違うバイクに乗っているのだと思う。

近江はこのときから絶対、彼らに復讐しようと思った。

こいつらは生きる資格がない。この世から消えてもらいたい。

その気持ちで彼はエカフにメールをした。

そして今日は早めに寝て明日の朝、また連絡が来るという。

さあ、どんな指示だろう? 自分1人で15人も殺すことができるだろうか?

それを考えると興奮して眠られない。ああ、そうか。

だから睡眠剤を飲むんだ。なんて心遣いが行き届いているんだ。

そうやって近江は眠りについた。


  


殺人幇助財団エカフの最初へ 殺人幇助財団エカフ 0 殺人幇助財団エカフ 2 殺人幇助財団エカフの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前