投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

美しき姦婦たち
【その他 官能小説】

美しき姦婦たちの最初へ 美しき姦婦たち 27 美しき姦婦たち 29 美しき姦婦たちの最後へ

三十八歳熟女滴る-4

 真希子は胸につかえていたものを吐露してほっとしたのか、和らいだ表情に変わってきていた。
「そんなことがあったのか……」
「そうなのよ。お姉ちゃん、子供が欲しかったのね……」
たしかにそうだった。が、それだけではないと思う。
「真希ちゃんも困っただろう」
「ふふ……」
恥ずかしそうに笑った。

 真希子の髪はすっかり乾いて肩にかかっている。薄い栗色に染めたその髪が頬に触れ、改めてみると少しふっくらとしたと思う。

 話の内容は重いことなのに気まずい空気にはならない。少なくとも坂崎はそうだった。
「真希ちゃん。急に話す気になったって言ったけど、どうして?」
深く考えての質問ではない。何気なく訊いたのだった。
 真希子は微かにうろたえを見せた。彼女にしては珍しい表情である。

 何か言おうとして口元だけを動かした。
「自分の胸にしまっておこうと思ってたんでしょ?」
追及するつもりはなかったので笑いを交えた言い方をしたのだが、真希子はさらに困った顔をみせた。
「どうしてかって……」
言葉が引っ掛かってから、坂崎をしっかり見据えた。
「義兄さん。思い切って言います。あたし、おかしくなったの」
「?……」
真剣な眼差しを向けられて坂崎は身を硬くして真希子の言葉を待った。

「子供たちが泊めてもらった夜、あたし、苦しくなっちゃって。いま、彩香は義兄さんと二人でいるんだ、今夜は美緒が一緒に食事をしてるんだ。そう思ったら堪らなくなって……」
二人の名前が出たことで身が引き締まった。
「あたし、三十八になるの。もしお姉ちゃんの望みを叶えるならそろそろ限界。今しかない。それで打ち明ける決心がついたの」
 坂崎は聞きながら胸を衝かれる想いだった。婉曲に言いながら、また、陽子の話を持ち出しながらも、それは紛れもない思慕の告白ではないだろうか。

 若い頃の真希子を思い出す。実家で会えば胸元の膨らみやむちむちした太ももを盗み見ては淫らな想像を繰り広げたこともある。妻よりも若く、活発で男の精気をたっぷり吸い取っている熟れた肉体である。そこに惹かれるのは男として自然な感情だと思う。邪な視線を真希子に気づかれたことはないと思う。ひそかに視姦して愉悦に浸っていたにすぎない。

(真希子が本当に自分に好意を寄せてくれていた……)
それが積年の想いだったとすれば、男冥利に尽きるというものだ。

「真希ちゃん、それは陽子のためにっていうこと?」
真希子はじっと坂崎を見つめてから、無言で首を横に振った。
「それだけじゃない。ずっと義兄さんのこと……」
訴えるように目を潤ませた。
「そう。それは、嬉しいな……」
とりあえず大らかに受け止めるのが義理の兄としての立場であろう。

「驚いたでしょう?……ごめんなさい……」
「驚いたけど、ほんとに嬉しいと思うよ」
美緒から聞いていたとはいえ、本人の口から面と向かって言われると感慨が沁みてくる。
(真希子と暮らす……)
唐突に、しかし音もなく霧が晴れるようにキッチンに立つエプロン姿の真希子が浮かんできた。
(それもいいか……)
穏やかな気持ちになった。三年の一人暮らしは、慣れたといえばそうだし、気楽でもあるが、やはり相応の疲れはあると感じる。だから二人で暮らす新たな生活をふっと思い描いて一瞬明るい日差しが胸に差し込んだのである。

 しかし、想いの背後に彩香と美緒が現われて心に波紋が広がった。真希子の二人の娘を抱いたのだ。その事実は消し去ることはできない。そのことを胸に秘めたまま暮らしていけるのか。もし、結婚ということになったら、彩香と美緒はどうするのだろう。同居するのか、実家の義父母の元で暮らすのか。いずれにしても二人は坂崎の子供ということになる。そんな倒錯した家族関係はあり得ないではないか。……


美しき姦婦たちの最初へ 美しき姦婦たち 27 美しき姦婦たち 29 美しき姦婦たちの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前