投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

デリシャス・フィアの最初へ デリシャス・フィア 53 デリシャス・フィア 55 デリシャス・フィアの最後へ

11-3

「おつかれ」

「グッジョブ」

「俺の才能のおかげだと言って欲しいね」

「よく言う。さんざん女の子にこんな真似やらせておいて」

「けどさあ、やっぱり学園祭でこんなの上映できっこないよな?」

「男子は集まるかもしれないけど、女子は引くよね」

「あたしは好きだけど」

「ほんとうに裸になったわけじゃないんだし、観たい子にだけ観てもらったらいいんじゃない?」

「いくらフィクションだからってさ、カズヤが犯人っていうのは笑える」

「ヘイケ先生も教授じゃなくて准教授なのに、偉くなったもんだな」

「オダの台詞もウケる。今の俺には花織が必要だ、なんてさ」

「笑うなよ」

「そういえばカオリンがいないみたいだけど」

「ユウコは何も聞いてないのか?」

「わかんない」

「ミサキ先輩なら、バイトがあるとかで途中で帰っちゃいましたよ」

「まさか、風俗のバイト?」

「そんなわけないでしょ。ホールスタッフだよ」

「話、戻すけどさあ」

「勝手に戻すなよ」

「講堂にいたカオリをアパートまで連れてったのって、誰?」

「あれってオダが連れて帰る設定だったよな?」

「俺は一人で帰ったよ」

「そうだっけ?」

「最後のバス停でカオリンが連れ去られるシーンなんて、あんなのあった?」

「誰かさんのサプライズだよ、きっと」

「待てよ、そんなシーンなんて撮った覚えないぞ」

「ミサキ先輩って可愛いから、誰かがこっそり編集したんだと思う」

「ほんとうのミスキャンパスは、カオリンだもんね」

「そんなことより、はやく打ち上げパーティーに行こうよ」

「車、誰が出してくれんの?」

「今日はノンアルにしとくわ」

「とか言って、結局は飲んじゃうくせに」

 やり切ったという達成感を引きずったまま、学生たちは小さなグループをつくり、それぞれの思いを吐き出していた。

 みんなの情熱を持ち寄って、かけがえのない時間を共有する。
 そうやって絆と絆が束になって、さらに太い絆になっていくのだと、ここにいる誰もがそう思った。

 冗談と笑い声が散らばり、誰もいなくなった部屋のデスクには、まだ熱を残したままのパソコンと、忘れられたUSBだけが、静けさの中にあった。


デリシャス・フィアの最初へ デリシャス・フィア 53 デリシャス・フィア 55 デリシャス・フィアの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前