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デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

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-3

 この部屋は、すべてにおいて都合がいい。
 こんなふうに夜になれば顔の見分けもつかない。
 空調も効いている。必要ならば照明を点けたっていい。
 とりあえず目隠しと手錠は済ませた。
 媚薬もじゅうぶんに効いているはずだ。
 それじゃあ、四人目の魔女を存分に可愛がってあげようか──。

 光さえも届かない心の深層に闇を抱えたまま、男は体の節々を振りまわして準備運動をはじめる。

 倉庫というだけあって、パイプ椅子は捨てるほどある。
 それらを並べて組み合わせれば、間に合わせの調教台が完成する。

 成人女性一人分のスペースである。
 四人目の魔女、霧嶋優子がそこに横たわっている。

 倉庫の明かりを点けてみると、その姿がくっきりとあらわれた。
 クリーム色のパーカー、色気を放つ赤いショートパンツ、そこから伸びる太ももからつま先までを黒いタイツが覆っている。

 一体どういう遺伝子を掛け合わせれば、これほど完璧な『イヴ』が生まれてくるのだろうか。
 男は何度もそんな掛け算をくり返し、美しい獲物に冷静な視線をそそぐ。

 出来合いの調教台の上で、優子はなすすべもなくもがいていた。
 そこから逃げ出したいというよりも、媚薬の巡りを体中に感じて喘いでいる様子である。

 冷たい手錠と、顔の半分ほどが隠れるアイマスク。
 鼻と口は呼吸のために許されている。

 それなのに優子は救いを求めるどころか、甘ったるい吐息ばかりを吹きつけている。

「うっ、ううう、ああう、あっ……」

 唇のグロスを舐める舌先からは唾液が滴っていた。

 男は無言のまま優子に歩み寄り、レイプの気配を悟らせるために、数ある道具の中からピンクローターを選択して、スイッチを入れた。
 虫の羽音のような唸りが空気を振動させる。

 震える球体を振り子のように揺らしてやると、アイマスクをした優子の顔が音を追って左右にさまよう。
 ふっ、ふっ、ふっ、と呼吸が乱れ、すり合わせる太ももがせわしい。

 男は言葉を発する代わりに、自分の股間をごわごわとふくらませて、優子のパーカーのジップを手で裂いた。

「いやっ」

 優子の声だ。

 その瞬間は顔を背けて拒絶していたが、鳴り止まない玩具の音を聞き取ると、またすぐに正面を向いた。

 はだけた服の下に胸のふくらみが二つ見える。
 それは優子の呼吸に合わせて上下に揺れ、男はそこへローターを落としてみた。

「んんっ」

 ドームの上でローターが飛び跳ねた。
 優子は歯を食いしばり、身をよじった。

 くすぐったい震えがシャツとブラジャーを突き抜けて、乳首を刺激する。
 アイマスクの裏で白い幻が見えたような気がした。


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