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デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

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 小田佑介は、今回のレイプ事件に何か特別な要素が隠されているような気がしてならなかった。
 ところが、思うところを確かめるべく、ふたたび検索サイト『ディープ』の世話になろうとしていた矢先に、徳寺麻美を強姦したと思われる男が逮捕された。

 容疑者の男は二十五歳のフリーターで、犯行については否認しているという。
 しかし、被害者の体内や現場周辺に付着していた体液から、その男のDNAが出たので、被疑者確保に至ったのだ。

「どうした、女にフラれたような顔してるぜ?」

 揚げ油の匂いが充満する学食で、小田の対面にいる黒城和哉が言った。

「女にフラれるほうがまだいいよ。犯人逮捕と言われても、何かしっくりこないんだよな。真犯人は別にいると俺は思う」

「共犯者がいるってことか」

「集団暴行するにしてもトイレだと狭すぎるし、別の場所でレイプしたあとにトイレに連れ込んだ可能性もある」

「わざわざ人目につきやすいトイレなんかに連れ込むかねえ。そりゃあ考えすぎだ」

「うむ」

「DNAっていう動かぬ証拠も出てるんだしさ。あとはおまえの個人的な趣味で、推理ゲームでもすればいい」

「悪趣味だと思うか?」

「わかりやすくていいよ」

 二人は鼻で笑い、ようやく目の前のご馳走に箸をつけようとした。

「また二人して何か企んでるの?」

 二人連れの女子学生が彼らに絡んできた。

「優子、学園祭の準備のほうはどうだ?」

 黒城がちょいと返す。

「それどころじゃないよお。ラクロスの試合までのスケジュールだって詰まってるし、平家先生の研究会のこともあるんだから」

「ご苦労なこった」

「いろいろ縛られちゃって、こんなのSM行為と一緒だよ」

「あの教授のゼミってさあ、熱狂的なファンがいっぱいいるわけだろう?」

「やめてよ、あたしはそういうのとは違うから」

 そんな会話が飛び交う中、しっ、と花織が人差し指を唇にあてて、みんなに目を配る。


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