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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜金美花・下編〜-1

時は流れた。
エルフの私に、時はそう長いとは思わないのだが、周りの変化で知ることが出来る。
百年の月日を経て、紅館の人々の中で二番目に長生きしている人になったのだ。
私は未だ紅様の恋人……ではない。
紅様は正直な方だから、辛い……私を愛していないことがありありとわかるから、私の一方的な恋なんだろう………


『………』
ムクリとベットから体を起こす。
朝が来た。 また一日が始まるのだ。
隣を見ると、紅様が眠っていた。 あれから時々抱いてくれる紅様、でも毎回控え目なエッチ…初めての時のような激しさは無いものだった。
(やっぱり…私じゃやる気にならないのかしらね…)
朝っぱらから溜め息だ…
ベットから起き上がり、部屋を出ていく。 私の部屋はこの部屋の二階下である一階にある。
『くぅ〜〜〜今日も良い天気ねぇ〜〜〜』
ここに来た時に比べ、背も伸びた。 実は紅様を越している。
(紅様、意外と小さいから………)
自室に戻った私は早速服を着替える。
秘書の仕事が私を待っているのだ。
(……静かな朝ね………)
ふぅ、と息を吐き、窓を開ける。 外からは綺麗な鳥の鳴き声が………
『うわぁ〜〜〜い♪ 落ち葉いっぱ〜〜〜い♪』
私は窓を閉めた。
外では獣人の少女、ゼロがあちこち走り回っては、まさに全身で落ち葉を満喫している。
(元気………ねぇ………)
はぁ………と今度は力の抜けた溜め息を吐く。
100年経っても、ここではメイド達が元気に過ごしている。 いや、100年前以上に元気で生き生きしている。
『紅様の理想………こういうものかしら?』
確かに、100年前には分からなかったここの意味がわかる気がした。
彼女達が幸せそうに生きているのを見ると、何故かこっちまで幸せな気分だ。
『他人の不幸ならぬ、他人の幸せも蜜の味かしらね。』
そんなことを呟きながら椅子に座って、届いた郵便物を整理する。
パーティーの招待状やら何やら一杯ある中から、紅様宛てとメイド宛てを分ける。
コンコン―――
『はい。』
『アルネ、ちょっと良いかな?』
紅様だ。
『どうぞ。』
紅様が入ってきた。 お気に入りの赤いローブを着ている。
『また市場に行って欲しいのだけど。』
『わかりました。 今日は………?』
市場とは、ただの市場では無くて奴隷市場のことだ。
そして、今日は? とは、どの奴隷を買ってくれば良いのかという意味だ。
『南市場で、エルフが一人売られるからその子を買ってくれ。 資金は幾らでも使っていい。』
わかりました、と答えたが、内心では珍しいと思っていた。
エルフなんて今まで買ったことが無い。 シャルナ様を思い出すからなのか分からないが、紅様がエルフを注文したことが無いのだ。
早速私は用意をして部屋を出た。
市場まではそんなに遠くは無いため、歩いて行くことにした。
紅様は私を愛してはくれないが大事にはしてくれた。 紅館はメイド達がほとんどで、私はそのメイド達をまとめるメイド長の地位までくれ、私専用のメイドが居たり、私専用の馬車まである。
でも、正直な話では、私はそれらの贈り物はあまり嬉しく無かった。
得られない、得ることの出来なかった物こそ一番欲しかったのだ。
紅様の愛が………


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