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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第15話-7

「結花は、優しいな」
 その涙の起因とするところが、桜子を慮ってのことだと知って、航はそんな結花のやさしい心が、とても尊いものに見えた。だから、頬を伝うその涙を、彼女の心をあやすようにそっと拭ってあげた。
「蓬莱先輩と、草薙先輩の間にはさ、俺たちが考えている以上に、“深い絆”があるんだろうな」
 だからこそ、“離れ離れになる未来”があっても、それを受け入れるだけの、“魂の強さ”が生まれるのだろう。好きな人と常に一緒にいて、愛を囁きあう事ばかりではない、さらに深化した“絆”が、桜子と大和の間には結ばれている。それは、“至高の関係”と言っていいだろう。
「俺は、凡俗だから、草薙先輩みたいにはなれない」
「……航?」
「でもな。隣にいる大切な人の悲しみは、きちんと背負ってみせる」
「あっ……」
 頬に航の手を添えられたまま、顔が向き合った。
「航……」
 結花はすぐに瞳を閉じて、航の息づかいが迫ってくるのを感じながら、唇の上に生まれた暖かな感触に、穏やかな心地にくるまれていった。
「ん……航……んん……」
 唇を何度も、何度も甘く噛まれる。それは、航が家まで送り届けてくれたときの別れ際にいつもしているような、唇が軽く触れ合うだけのキスとは違って、濃密な感情がそのまま伝わってくる、熱気の伴うものだった。
「はふ……わたる……ん……ん……」
 だから、結花は、触れてきた唇に吸い付くように、その感触を味わった。
「航のキス……きもちいい……」
「俺もだ」
 囁きの後で、再び、唇が重なる。二人は互いに腕を廻しあって、触れ合う唇を起点として、きつく抱き締めあい、体をひとつにしていた。
「………」
「………」
 結花の柔らかい身体の感触が、衣服を通じても充分に伝わってきて、航の中で興奮が渦を巻く。それは結花も同様であり、唇を熱く噛みあう中で、ままならない呼吸のためか、頭の中が酩酊を始めて、奥の方から滲んでくるジリジリとした官能の揺らぎに、頬が熱くなった。
「なあ、結花」
「ん?」
 最も間近に、互いの顔を寄せあっている二人。言葉を発する度に、熱くなっている吐息がかかり、それもまた、二人の興奮を高める作用をしていた。
「結花のこと、もっと、触りたくなった」
「……したい、って、こと?」
「そうとも、いう」
「そうとしか、いわないよ」
 航の遠まわしな表現に、結花が苦笑する。多分、恥じらいがあったのだろう。その純なところは、相変わらずである。
「いいよ、航。……しよ」
 “いつか、航とエッチなこともする”と、常々そう考えながら、ひとり指を濡らすことの多かった結花だ。覚悟はしていたし、願望もある。
「今夜はずっと、航と、一緒にいたい……」
「結花……」
 そうして、もう何度目かわからないぐらい重ねたキスを、今度は“決意の証”とするように、二人は深く交し合うのであった。


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