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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第15話-1

 第15話
「Initiation 〜通過点〜」



「それじゃあ、結花、戸締りはしっかりするんだぞ」
「あんまり、夜更かししちゃダメよ」
「わかってるってば」
 朝、自分よりも先に出かけることになっていた両親を、結花は玄関先に送り出していた。
「そっちこそ、久々の夫婦水入らずになるんだから、ゆっくりしてきてよね」
 父・紀一郎の恩師に当たる人物が、米寿を迎えたことから、同窓会も兼ねた記念パーティーが地元で開催されることになり、母・紘子を連れて出席をすることになったのだ。紀一郎の地元は、日帰りをするには距離があるので、パーティーの行われるホテルにそのまま宿泊をして、帰ってくるのは明日の夕方になる。
 従って、結花は今晩、“ひとりでお留守番”をすることになったわけである。
「カレーを作りおいてあるから…。ゴハンは自分で炊けるわよね」
「大丈夫だってば」
 紘子は、自分の娘があまり家事を得意としていないことを知っているので、少しばかり不安なのである。彼氏が出来た影響か、最近はよく家事の手伝いをするようにもなったが、“花嫁修業”は始まったばかりで、まだまだ修練不足であった。
「残ったルーは、今夜のうちにちゃんと冷凍しておくのよ。二晩おくのは、ちょっと危険だからね」
「はいはい」
 紘子のほうが、最後まで結花に対して、過保護な様子を見せていた。
「いってらっしゃい」
 ようやくにして紀一郎と紘子が、呼んでおいたタクシーに乗り込み、出発していった。
(………)
 排気音が遠ざかり、静けさが辺りに戻ると、今日はひとりなのだという実感が結花の中に湧き上ってくる。
(まあ、今日は大学行って、練習して、帰ってくるのは8時ぐらいになるから……)
 日中は結局のところ、家には誰もいなくなる。戸締りをしっかり、という父の言葉を、思い出す結花であった。
(ひとり、か……)
 ふと、航の顔が浮かぶ。
(だからって、晩御飯ぐらいウチに誘っても、ヘンに思われないよね…)
 家に一人だという状況で、誘いをかけたとしたら、航にどう思われてしまうだろうか? それを、昨夜からずっと考えていた結花である。
 紘子がカレーを用意していたのは、おそらくそこも見越してのことだとはわかっている。娘が彼氏を誘いやすいように、体のいい“口実”としては、うってつけであろう。
(そ、そうよ。別に、ご飯を一緒に食べるだけなんだから。家にひとりだからって、意識なんてしなくてもいいんだから…)
 なんというか、既に意識しまくっている。
(ま、まあ、そろそろ、キスだけじゃなくて、次のステップに、進んでもいいんじゃないかなぁとは、思ってるけど……)
 航との“触れ合い”は、手を繋ぐことと、別れ際に交わす唇同士の接触だ。ハグもあれど、艶めいた雰囲気の中でボディタッチをするということは、今のところない。
 結花としては、恥じらいもあるが、興味も尽きないところで、航ともっと深い形で触れ合えるようになりたいという願望も、否めなくなっている。
(好きな人と、いっしょに夜を過ごす…)
 考えようとしただけでも、頬に血が上ってくる。まったくもって、純情可憐な乙女の結花である。
(桜子センパイは、大和センパイと、どんなふうにしてるんだろうなぁ)
 隣で見ていても、ほんとうに“理想的なカップル”と言える桜子と大和の二人が、恋人同士の時間をどう過ごしているのか、聞くことは出来ないでいるが、非常に気になるところだった。
(あの二人が、離れ離れになるところなんで、想像できないよね)
 乙女な結花は、大好きなセンパイふたりが仲睦まじくしている様子を、自分と航の姿に置き換えて、そんな幸せな空想を膨らませながら、ピンク色の背景を抱きつつ、家の中へと入っていくのであった…。


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