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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第14話-37


 誠治の“射精”が終わったところで、バスルームでの“触れ合い”はひとまず打ち止めにした。葵は完全には達していない様子だったが、彼女も、愛する人の精子を身体の奥に浴びたことで大きな満足を得たのか、それ以上の催促をすることはなかった。
 まだ、起きてしまうには少し早い。湯に濡れた体をしっかりと拭き、二人は、下着だけを身に着けた半裸の状態で、抱き合って臥所に潜り込んだ。葵の下半身が、万が一のために、“おむつ”になっているのはいつも通りである。
「………」
 その葵だが、横になるやすぐに、安らか寝息を立て始めていた。
 “悪夢”によって“おむつ”を汚しながら目覚めてしまった彼女だったが、その安堵したような寝顔から察するに、今はいい夢を見ているに違いない。
 誠治の放った迸りを、胎内に収めたままでいることが、彼女に安らぎを生んだというのなら、それはとても、幸せなことだと誠治は思った。
「葵くん……」
 “パニック症候群”を起因とした、葵の無残な姿を、誠治は数多く目の当たりにしてきた。“夜尿”によって“おむつ”を汚したり、セックスの途中で“放屁”をしたりすることなどは、序の口に過ぎない。
 重症だった頃、路上でいきなり発症して、上から下から様々なものを垂れ流しながら嗚咽に呻く葵を、抱き締め続けたこともあった。
 電車やバスの中で、奇異の目に晒されながら、蹲って醜態を晒してしまった葵を、まるで何事でもないように、誠治は守り続けてきた。
「せいじ、さん……」
 そんな誠治を信頼し、親愛の情を葵が抱くのは当然といえよう。
「せいじさん……せいじさん……」
 夢の中にいる存在に、自分の姿がある事を、誠治はやはり、嬉しいものだと思う。
「………」
 葵の頬に、そっと手を伸ばす。

 ぎゅ…

 と、それを待っていたかのように、葵の両手が誠治の手を掴み、眠ったままで強く握り締めてきた。自分を守ってくれる大事な存在を、離すまいとしているような、そんな葵の仕草であった。
「安心してください、葵くん……僕は……」
 彼女のことを見つけた時…出会った時から変わらない、胸の奥底に宿っている熱い“決意”。葵との時間を重ねる度に、それは強く揺るぎないものとなって、誠治の魂を熱く焦がし、燃え震わせるのだった…。



 …桜子と大和、そして、葵と誠治。
 相似た二組の男女が生み出す、対照的な陽と陰…。
 その“コントラスト”が最大調になるであろう、最後のぶつかりあいというべき“隼リーグ”の後期日程は、始まりの時を間近に控え、“対決”という名の燻りを、今は静かに立ち昇らせるばかりであった…。



 −続−


 


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