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Betula grossa〜出逢い〜
【ラブコメ 官能小説】

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Betula grossa〜出逢い〜-18

私達は着替え終わった葛城君と父の車で撮影場所に向かった。
カメラマンさんと衣装担当の人の指示通りに私達はいろいろな衣装に着替えて撮影してもらった。私は前に一度だけ撮影に参加した事があったので、少しは撮影現場の空気を知っていたのだが、やはり慣れなかった。梓さんも笑美ちゃんも戸惑っていた。驚いた事に葛城君だけが、カメラマンの指示通りに応えていた。まるでモデルの経験があったかのように。
「純ちゃん視線こっちに....そう!..次は少し下を見て!....もう少し右!..そう!......」
まるで葛城君....いえ純ちゃんの撮影を見ているかのようだった。
「すみません....申し訳ありませんが....洋服がメインなんですが....」
担当者が思わず止めに入る程だった。
「あっ!スマン!そうだったな!つい....」
カメラマンさんは苦笑いを浮かべて頭をかいていた。
撮影が終わった後
「純ちゃん!いつか君の事撮らせてくれないか?都合の良い日を言ってくれればいつでも開けるから!」
葛城君は苦笑いを浮かべて
「少し考えさせて下さい....」
そう答えていた。

私達は戦利品....じゃなかった....謝礼の洋服を手に家路についた。父が送ると言ってくれたが私達は電車で帰る事にした。
「これどうしよう....」
葛城君は衣装担当の人に
「これ純ちゃんに似合うから持って行って!」
そう言われて渡された紙袋を見て途方に暮れていた。
「良かったな!純ちゃん!いっぱい洋服貰えて!」
「梓さん?こんなのいつ着ろって言うんですか?」
「いやぁ..純ちゃんに似合うと思うんだけどなぁ....」
「こんなの着れるわけないでしょ!」
葛城君は紙袋からキャミソールを取り出した。それを着てくれとカメラマンさんに強く勧められたが葛城君は首をたてに振らなかった....気持ちはわかるけど....
「ねぇ!純ちゃんは....」
「あの!姫川さんまで俺の事純ちゃんって呼ぶのやめてくれる!」
「だって....その格好で言われても説得力がないですよ!」
「うっ....」
葛城君は言葉を返せなかった。私は遮られた言葉を続けた。
「純ちゃんはモデルの経験があるの?慣れているみたいだったけど....」
「うん!私もそう思った!」
笑美ちゃんも私に同意した。
「モデルの経験はないけど....写真を撮られる事には慣れていたから....昔、ボクシングの試合の後の取材であちこちからこっちを見てって言われていたからね....」
そう言われて思い出した....葛城君がジュニアチャンピオンだった事を....
「ごめんなさい....私....」
「気にしないで!姫川さん昔の事だから....」
葛城君はそう言って笑ってくれた。本当はどう思っているのか私にはわからないが心残りがあるだろうという事は想像出来る....その時、梓さんの携帯が鳴った。
「はい!なんだ....香澄か....どうした?....えっ?いるよ!....うんわかった!....なぁ..香澄が時間があったらこれから来てくれって....どうする?」
梓さんは葛城君に話しかけた。
「俺?」
梓さんが頷くと
「行くって伝えて下さい!メイクも落としてもらいたいし....」
「わかった!....香澄?大丈夫だって!....うんわかった!そう伝える!」
梓さんは携帯を切って
「香澄が部屋に来てくれって!香澄の部屋まで送るよ!」
「すみませんお願いします!」
葛城君を梓さんが送って行く事になったので、私は梓さん達と別れて家路についた。




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