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勇気をもって!
【学園物 官能小説】

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勇気をもって!-4

 (やっぱりおかしい……間違ってる……)
二組の男女がカラオケルームで同時にセックスするなんて、正常じゃない。男たちのどんな誘いでそうなったのかわからないが、きっと手慣れているのだ。引っ掛かったんだ。里香たちが狂わされているのだ。

 その思いははっきりしていながら内心複雑でもある。カラオケボックスで絡み合う場面はどうしたって思い描けないし、理解を超えている。しかし優希の頭の中を被っているのは性器の結合、そのものであった。
(里香も真美も入れたんだ……)
どうなるんだろう。痛いらしい。でも、二人は嬉しそうだった。
 優希にも密かな願望はある。だからといって興味本位に見ず知らずの男に許す気にはなれない。喪ったら取り戻せないのだ。後悔はしたくない。簡単に意味のない『重荷』とは考えられなかった。

 その夜、またあの男が夢に現れた。近づいてくる。設定された気配と雰囲気でそれがわかる。
 なぜか優希は学校の屋上に寝ている。屋上なのに屋根があって、騒々しい音楽が流れている。
 いつもとちがう気持ちである。怖いのに、男を待っている自分を自覚している。

 男の影が見えて、ふと気づくといつの間にか里香と真美が横に寝ている。
(あなたたち……)
怒りがこみ上げてきて、叫ぼうとするけれど、うまく言葉が出ない。
 男は里香のしかかっていった。
(入った……)
局部を見ようと体を起こす。見えない。ソコだけが見えない。
「入っているわよ」
うっとりした顔で里香は言った。笑っている。
 くらくらして目を閉じると今度は真美の喘ぎが聞こえてくる。
「入っているわ……」
その笑みは優希を軽蔑したような色を持っていた。


 目覚めると体が異様に気だるい。下半身が変だと感じて無意識に下着に手を入れていた。
「ああっ……」
ぬるっと指が亀裂に滑りこんだ。
(何?)
濡れた陰門に触れたのは初めてである。溢れた状態に驚いた。
(こんなになっているなんて……)
そっとなぞって声をかみ殺した。
「くうう……」
快感が体内を突き抜けた。。
(あ、何なの、何……)
反射的に体が伸び上がり、足先が突っ張った。一瞬、息が止まるほどの心地よい痺れに見舞われた。急激で、強烈で、柔らかい。
「あうっ」
指が膣に入った。入れるつもりはなかったのに吸い込まれるように差し込んでいた。
(力が抜ける……どこかへいっちゃう……)
浮き上がった感覚。張りつめた快感。
(気持ちいいィ!)
それが絶頂感だとは分からなかった。考える余裕などない。わずかだが、意識が飛んだ。頭の中が銀色に輝いて眩しさに思考が拡散した。

 体の痙攣がしばらく続いた。それは怖いほど。……
嵐が過ぎ去ってからも陰部が微かに疼いて、その脈動は体を伝わって聴こえてくる気がした。

 翌朝になっても貫いた快感の余韻が体に残っているような火照りが感じられた。陰部もむずむずして指で触れたい誘惑にかられた。

 いわゆる『セックス』の実態、とりわけペニスとヴァギナの結合を知識として受け止めたのはいつだったのか正確には憶えていない。
 小学校低学年から徹底した受験教育に揉まれ、それを当然のこととして頑張ってきたし、これからもその気持ちは変わらないと思う。そのために世間的には少し疎いところがあるのかもしれない。でも年頃になって、興味を抱くことはふつうの子と同じだ。結ばれる意味を知った後に母親が使っている和ダンスの引き出しにコンドームを見つけた。生々しい感覚でセックスを捉えるようになったのはそれからである。

 (みんな、してるんだ……セックス……)
重いものが胃の辺りに停滞した。でも、嫌悪する感情は起こらなかった。むしろ自分を、そして体を大切にしなければならない想いが強く起こってきて、それ以来、性の情報に惑わされないように固い意志を前面に押し出してきたつもりだった。
 それが、今日をどうするか、迷いに迷っていた。迷いの中には好奇心もある。むろんカラオケボックスで知らない男に体を許すなんて絶対にあり得ない。それでも胸苦しくなる。
 里香と真美に対しての意地もある。経験のある者に未経験者が対等に立ち向かうことは出来ない。でも、ただ驚いて圧倒されるのは厭だった。
(逃げたくない……)
最終的な決断はその気持ちであった。
(平然としていよう……)
取り乱さず、自分を見失うことのないようにしよう。女子高生を弄ぶ男に対抗心さえ芽生えてきた。だが、弱い。自信はない。
 強がる気持ちとおぼつかない信念。優希は葛藤を抱いたまま、行動を決意した。


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