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性愛交差点
【その他 官能小説】

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性愛交差点-2

 信彦は三十八歳、妻も同い年である。出会いは職場。彼が政治経済の教師になって三年目の春、数学の時間講師として彼女はやってきた。
 特に美人ではなかったが、清楚な印象が強く彼を惹き付けた。長い髪が柔らかに肩を被う優雅さ。そしてゆったりと歩く後ろ姿の見事なまでの腰回りに健康的な女性らしさを感じたものだった。目鼻立ちは知的な風貌で、見た目だけでなく、小枝子は国立大学の教育学部を出て、さらに大学院まで終了していた。将来何を目指していたのかは漠然としていたらしいが、エリートコースを歩んでいたことは明らかである。同じ教師でありながら、平均的な私大を出た信彦とは学歴の重みはまるで違っていた。勤務先である私立高校へも卒業生という優遇で採用されたのだ。だからその点に関しては小枝子に劣等意識があったことは否めない。

 半年ほど経って彼の方から誘って付き合いが始まり、ほどなく結ばれた。セックスに学歴は関係はない。小枝子はすべてを彼に委ねて法悦に浸った。

 小枝子の母、美佐子が同居を始めて二か月になる。それまで都内の一戸建てに一人住まいをしていたのだが、隣家の貰い火で全焼してしまった。留守中のことで難を逃れたが、家を建て直すか、土地を処分してマンションにでも移ろうか思案しているところである。どちらにしても時間のかかることなので、とりあえず信彦の所に身を寄せることになったのだった。
「アパートを借りてもいいんだけど……」
義母は彼に遠慮をみせて言ったが、少しの間ということで実の娘と孫との生活を選んだ。

 美佐子は小学校の教頭まで務めて二年前に退職した。今は週に三日ほど教育委員として教育相談の仕事をしている。小枝子が大学の時に他界した彼女の父もやはり教師で、当時は校長を務めていた。そして姉も京都の大学で歴史学の准教授という教育一家である。

 美佐子が同居したことで喜んだのは小枝子である。経済的に余裕のある母親から過分な生活費をもらっているようだった。食事の支度もいつの間にか美佐子の役になり、娘の有香も、手間をかけた祖母の手料理楽しみにするようになっていた。
 信彦も快く迎えたが、内心は美佐子を苦手に感じている。特に衝突があったわけではない。ふだんあまり笑わず、どこか教育者然とした生真面目な雰囲気がとっつきにくく感じていたのだ。だが、事情が事情である。それに一時的なことだと納得をしていた。

 実際に生活をしてみて気になることといえば、やはり『夜』のことだ。3LDKのマンションのドア付きの個室は有香が使っている。その部屋を美佐子にと考えたのだが、有香が頑として自分の城を譲らなかった。結局、襖で仕切られた隣室を使ってもらうことになったのだが、夜、寝静まってみると、ともすれば寝返りの気配すら分るほど物音が聞こえた。

 小枝子も同じことを感じたようで、数日後、二人きりになった時に彼女の方から言ったものだ。
「いままでのようには無理ね……」
美佐子と有香が買い物に出かけた合い間である。
「静かにするしかないだろうな……」
「たまにホテルへ行くとか」
「なかなか、難しいだろうな」
信彦は言いながら立ち上がって和室に向かった。小枝子も察して続くと、スカートをたくしあげる。そして下着だけを脱ぐと横になった。
「いつ帰ってくるかわからないわよ」
信彦も下だけ脱ぎ捨てて、早々に小枝子の膝を割る。
 黒々とした三角地帯に赤い口が粘液を湛えている。すでにすっかり濡れていた。先端を合わせ、小枝子は拳を握り締めて身構えた。

 ぱっくり口を開けた陰部を見て彼は気が変わった。いきなり口をつけた。
「だめよ、洗ってない」
構わず花芯を舐めると小枝子は声を上げた。
「ああっ、だめ!」
籠った発酵臭が昂奮を掻き立てる。顔を振り、口先を埋めるようにところ構わず舐め、愛液を飲んだ。

「もうイキそう!早く!早くして!」
その声に煽られて彼も発火した。体を起こすと倒れ込んで一体となった。
「ああっ、感じる」
小枝子の淫声にさらに誘発されて下腹部が燃えた。ぎりぎりでコンドームを着けようと思いながら激しく攻め立てた。

 限界を感じてそろそろと思った時である。微かに有香の甲高い笑い声が聞こえた。
「来た」
小枝子が慌てて頭を上げ、同時に吸引されたように膣が絞り込まれた。
「あ」と思った時には射精していた。
すぐに引き抜く。噴出は続き、小枝子の腹や陰毛に降りかかった。
「いやだ、もう」
やりとりしている時間はない。ふき取る間もなく急いで下着とズボンを穿いた。
「できちゃったらどうするの」
小枝子は呼吸を整えながら信彦を睨みつけた。

 義母を気にしながらの密やかな行為は時として新たな昂揚を生むこともある。しかし、やはり思うように動けないもどかしさ、声を上げられない辛さが満たされない後味として残った。それは小枝子も同じ想いであったろう。
 信彦は次第に苛立ちを覚えるようになっていった。


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