投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

アンバランス×トリップの最初へ アンバランス×トリップ 233 アンバランス×トリップ 235 アンバランス×トリップの最後へ

アンバランスな愛-1


 ゆらゆらゆらゆら

 身体が揺れてフワフワしている。

 髪を撫でている手だけが妙に現実的で、ゼインはそっと目を開けた。

「起きましたか?」

 懐かしい声……キツイ実験後、いつもこうして撫でていた手を思い出しゼインは薄く笑う。

「……何でかなぁ……アンタなんか大嫌いで、殺したい程憎いのに……見捨てらんねぇ」

 だから、一緒に死んでやろうと思った。
 殺したい程憎くて、生かしておけなくて……それでも見捨てられないから……だから一緒に死んでやろうと……。

「君にとって、私も特別なのでしょうね」

 珍しくまともな返答が返り、ゼインは目を瞬いた。

(あれ?)

 男はあの時のままの姿だった。
 長い白髪に乳白色の目……ゼインを膝枕して髪を撫でる手もあの時のまま。

「私は君の見ているモノが見たかった。君の世界は輝いていて、永く存在していた私が見る事の無かった世界でした」

「?」

 ゼインは目を瞬いたまま男の顔をジッと見つめる。
 何か違和感がある……いつもと違う……その正体に気づいたゼインは、瞬いていた目を丸くした。

 男は……優しい笑顔を顔に浮かべていたのだ。

「私は存在する事に飽きていたんです。変わらず流れていく日々に」

 ゼインの耳の付け根を指で掻いた男は、ぴるぴる動く耳にクスリと笑う。

「たまたま手に入れた魔物の力で世界が広がり、知りたい事や試したい事が増えましたが……結果はそんなものかという感じでしたね」

 知りたかった事は産まれて、生きていく事の意味……だから、沢山増やして強くして……大勢の人の心を覗いて……それでも意味は分からなかった。

「産まれるのに意味などない……生きるのにも死ぬのにも……意味などないんですね」

 男は、自分は何をしてきたのだろう、と自嘲気味に目を伏せた。

「意味はあるよ」

 ゼインは腕を上げて男の長い髪を掴む。

「俺はアンタに作られて売られて……沢山の人に会ったよ。いけ好かない奴隷商人にキモいホモショタ親父、ドSの女王様……陰のある男みたいな女に、カリーにポロに……」

 ゼインは反対側の手で指折り数えていたが、片手じゃ足りなくて手を下ろした。


アンバランス×トリップの最初へ アンバランス×トリップ 233 アンバランス×トリップ 235 アンバランス×トリップの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前