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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS桃子-9

ようやく機嫌が直った石澤に、俺は一昨日の石澤母との話の内容を聞かせた。


モテモテ話をそのまま伝えると、呆れ果てた顔で大きなため息を吐き、石澤母の変な半袖Tシャツや、彼女特製ブレンドコーヒーの話をすると、


「だから土橋くんを家に来させたくなかったのに」


と、顔を赤くして俯いた。


すかさず俺は笑いながらも、


「でも、あの母ちゃんはお前のこと超愛してるぞ」


と、フォローした。


いや、フォローって言うよりホントにそう思ったから、それを石澤にはわかって欲しかった。


「……このお弁当で?」


冷ややかに俺を見やった彼女だったが、口元だけはまんざらでもなさそうに少し笑っていた。


まあ、避妊云々の話は言いづらかったので、ここでは割愛したけど。


次第に俺達がいつもの調子で話をするようになったのは弁当を食べ終えた頃だった。


「お前は食わねえの? クッキー」


弁当箱を紙袋にしまった俺は、入れ替えるようにクッキーの包みを取り出した。


「いらなーい。昨日散々実験台にさせられたし」


弁当を食べ終えた石澤は柵の方に移動し、柵に肘をついて景色を眺めている。


「んじゃ、遠慮なくいただきまーす」


俺はさっそくクッキーの包みを開けた。


プレーンとココアの2種類のクッキーはここでもハート型一色だった。


苦笑いを浮かべながら食べていく。


だが石澤母のクッキーは、形はさておき、さっくり焼き上げられて歯触りがとてもよく、甘さ加減も俺好みだった。


さっきの弁当も冷凍食品は使わずすべて手作りでとても美味かったし、石澤母はやはり料理がとても上手なのだろう。


一枚食べ始めると止まらなくなり、俺はどんどん食べていった。


不繊布に包んである乾燥剤も入っていて、石澤母の意外にも細やかな気配りが見られる。


「クッキーも美味いな。乾燥剤もちゃんと入れてくれて、気が利くし。

俺、めちゃくちゃ愛されてんじゃん」


と、冗談めかして彼女の背中を見つめた。


石澤は顔だけ振り返って、


「じゃあ、お母さんと付き合えば?」


と、笑い飛ばして再び景色を見やっていた。



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