投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

あいかわらずなボクらの最初へ あいかわらずなボクら 41 あいかわらずなボクら 43 あいかわらずなボクらの最後へ

VS桃子-8

石澤の弁当箱は二段重ねになっていて、大抵は上段におかず、下段に白飯を詰めてきている。


まあ、たまに上段に炒飯、下段に白飯のような荒技の時もあるのだが。


今日の彼女の弁当は、おかずのスペースには俺と大体同じようなおかずが詰められていたが、俺の弁当に比べてなんだか見栄えが悪かった。


やたら不恰好で中身が少しはみ出た春巻、少し揚げすぎて焦げ茶色になった唐揚げが気になったが、それくらいなら別に機嫌悪くならなくてもいいのに、とも思う。


そして下段のご飯のスペースには、二色のそぼろがパラパラとほんのわずかにふりかかっていたが、途中でそぼろが足りなくなったらしく、梅干しを隅に置いてごまかしていた。


まあ、こっちはイラつくかも……。


中途半端な二色弁当にするくらいなら潔く日の丸にしてやればいいのに。


自分の弁当が明らかに手抜きなのを快く思っていない石澤に、


「……まあ、味はおんなじだろ。
気にすんなよ」


とは言ってみたものの、俺の弁当だけこんなに気合いを込められてたら、そんな慰めも白々しいかもしれない。


結局俺達は、無言のままで無駄に美味い弁当を食べ始めた。


「つーか、俺のこと、気に入ってくれたのかな……」


ボソッと呟きながら卵のそぼろでできたハートを眺める。


あんな失態見られたのに。


思い出したくないのに、一昨日のキス未遂の気まずさが蘇る。


急に恥ずかしさが一緒にこみ上げてきて、一人で箸をくわえたまま頭を抱え込んでしまった。


そんな俺の様子が可笑しかったのか、


「気に入ったからこんなえこひいき弁当作るんでしょ」


と、ようやく石澤がプッと笑ってくれた。



あいかわらずなボクらの最初へ あいかわらずなボクら 41 あいかわらずなボクら 43 あいかわらずなボクらの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前