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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS欲望-7

 





それからは、郁美とうまくいっていたと我ながら思う。


女特有の長い買い物に慣れないながらも付き合ったり、興味のない恋愛映画を一緒に観たり、満腹になった気がしないこじゃれた店で食事したりと、俺は郁美といる時間が次第に増えた。


学校では友達と楽しく騒ぎ、石澤をからかっては笑い合い、放課後は郁美と二人で甘い時間を過ごす、そんな充実した毎日を送っていた。


もちろん郁美とは時々身体を重ね、ガラにもなく好きだと恥ずかしい台詞をたまには囁いたりなんかもした。


最初こそ流れに流され、避妊具の用意もないままにコトを済ませてしまったけど、それ以降はけじめとしてちゃんと用意をして、壊れ物を扱うように、慎重に大切に郁美を抱いてきた。


身体を重ねる回数に比例して、俺の中で郁美に対する想いも大きくなっていき、ようやく普通のカップルらしくなったと思った。


郁美はその行為のたびに“印、つけて”と俺にキスマークをつけるようせがんだ。


なんでそんなもんつけたがるか不思議だったけど、“愛されてる証拠だから”と彼女は笑うだけ。


俺がつけたキスマークが一つ、また一つと郁美の身体に刻まれていったある日、突然石澤から“好きな人ができた”と報告を受けた。


彼女が言うことを俺なりに解釈すれば、“歩仁内に誤解されたくないから話しかけないで”ということだった。


それを聞いた瞬間、俺の存在や今まで楽しく笑い合っていた時間ごと否定されたような気がしてたまらなく苛立った。


俺だけがアイツの隣で笑っていて、アイツは歩仁内の目を気にしてソワソワ落ち着かなかったんだろうと思うと、ひどくバカにされたような気がした。


さらには例えようのない、どうしようもないモヤモヤした気持ちが自分の中にあったのだが、その時は怒りで気付かなかった。


今なら、そのモヤモヤの正体が歩仁内に対する嫉妬だとわかっているけど、あの頃の俺は、郁美がいるのに自分にそんな感情があるとは到底信じられず、ただ俺と距離を置きたがる石澤に腹が立つだけだった。


そうして俺はその日から石澤を無視することに決めたんだ。




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