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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS欲望-6

“今度はお前のこと大切にするから”みたいな気の利いた台詞でも言えりゃ、郁美はもっと笑顔になってくれるだろう。


なのに、なぜか喉まで出掛かった言葉を上手く吐き出せない。


なんでコイツが喜んでくれるような言葉が口から出てこねえんだよ。


そんな自分がもどかしくて、ついつい苦々しい顔になる。


でも、郁美はさっきの俺の言葉に満足したようで、思い直したようにブラウスのボタンを締め直していた。


その姿を見て、もどかしさ、愛おしさ、そしてなぜか、よくわからない罪悪感のようなものが俺の頭の中で混ぜ合わさり、やがて打ち上げ花火みたいに弾けたような気がした。


気付けば俺は、ボタンを締めていく彼女の手をグッと掴んで、その手を止めていた。


「……修?」


赤い目をした郁美がキョトンとこちらを向く。


その透き通る瞳が、たまらなく俺の何かを突き立てて。


次の瞬間、俺は硬いフローリングの床の上に郁美を組み敷いて、貪るように深いキスをしていた。


唇を交わし合っていると、生理的な欲望と、どうにでもなれというやけっぱちのようないい加減さの波状攻撃が、次々と俺に襲いかかってくる。


なんとかそれに耐えようとしたが、郁美の柔らかい唇と、そこから時折漏れる切なそうな声と、指の間からぱらりとこぼれ落ちる髪のなめらかさとに、ついに理性の糸がプッツリ切れてしまった。


顔を離して彼女を見つめれば、潤んだ瞳と紅潮した顔が黙って俺を見上げていた。


しばしの沈黙の後に彼女の形のいい唇から、


「……修、ベッド行こ……?」


と、少し恥ずかしそうに、誘う言葉が出てきた。


頷く替わりに、彼女の背中に手をまわしたまま、すぐそばにあったベッドにその華奢な身体を引きずり上げた。






郁美に軽々しく手を出すまいと、不退転の決意で臨んだつもりだったのに、結果はこのザマだ。


自分のバカさ加減に呆れることはできても、今さら引き返すほどの強さは持ち合わせてなかった。


でもこれは軽はずみでもない、情にほだされたわけでもない、好きだから身体を重ねるんだ、とまるで自分に言い訳するように何度も言い聞かせながら、欲望に負けた俺は、彼女の服を徐々に脱がせ始めた。




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