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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS欲望-2

勉強机の横につけられている本棚にチラッと目を移したら、漫画や小説などに紛れてひっそりとアルバムがたてられているのが目に入った。


「これ、中学のアルバム?」


俺がアルバムを指差すと、彼女は


「うん」


とだけ、小さな声で頷いた。


「見ていい?」


俺は郁美の返事を待つ前にアルバムに手をのばしていた。


郁美の中学と言えば石澤が写っているはずだ。


どんなツラして写ってんだか。


そんな単なる好奇心だけで、アルバムを手にとってから、俺はそれを後悔した。


昌斗のことを忘れていたからだ。


見れば郁美は、困ったような気まずいような複雑な表情を浮かべていた。


以前、昌斗を一方的に振った郁美が許せなくて、俺は郁美を傷つけてやった。


それは全て俺が勝手にしたことで、昌斗は一切関係がなかったのだが、郁美にとっては昌斗のせいで、俺に傷つけられたと思っているのかもしれない。


そのせいか、俺と郁美の間で昌斗の話は、タブーのようなものになっていて、ヨリを戻してからはお互い口に出すことはないまま、ここまできたのだ。


だからといって今さらアルバムを棚に戻したところで、昌斗のことを余計に意識していると思われそうだったので、俺はしらばっくれてアルバムを開くことにした。


「郁美、何組だった?」


「A組だよ、ほらこれ」


郁美もいつの間にか俺の隣に座り、一緒にアルバムを見ていた。


見れば髪の短い郁美がはにかんで写っている。


やっぱりこの頃から郁美は可愛くて、周りの女子と比べても群を抜いていた。


「こっちの方が可愛いじゃん」


「もう、どういう意味よ!」


郁美は頬を膨らませて俺を睨んできた。


「今はちょっとケバい」


俺が笑うと郁美は思いっきり俺の耳を引っ張った。


でも郁美がようやく笑ってくれたから、俺は内心ホッとしていた。



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