縄灯（前編）-6
私の背後から、ヒューと空気を切り裂くような音が一瞬伸びてくる。
ビシッー… あうっー
私の臀部に打ちつけられたベルトの鋭い痛みに、私の唇から迸るように悲鳴が漏れる。窓に
手をついた私の背中が大きくのけ反り、膝が小刻みに震えた。
「もっと、いい声で啼いて欲しいぜ…」
ビシッー、ビシッー うぐぐっ…うっ…
ベルトが重厚な音をたて私の肌にはじける。男が手にした細いベルトが鞭のようにしなり、
背中や臀部の肉を切り裂くように肌に喰い込み、鋭い痛みを走らせる。
部屋に響きわたる鈍い響き…。私は一瞬息を止めると、ピーンと張りつめた肉肌に強い欲情を
感じた。
「どうだ…ベルトでぶたれるって快感じゃないのか…あんたって、そういう顔をしているぜ…」
背後でせせら笑う男は、手加減することなく私のからだに何度となくベルトを振り下ろす。
ビシッー、ビシーッー
…あうっー、ああっーっ…
汗が滲む胸郭を大きくのけ反らせ、烈しく身悶えする私の唇の端から呻きとともに唾液が糸の
ように滴る。男は微妙な強弱をつけながら容赦なくベルトを振り降ろした。私が悶え、腰を
くねらせると、男はさらに嗜虐心を煽られるように私のからだを強く打ち叩いた。
ビシッー… ひいっ…
しなやかに伸びてくるベルトが、うねり、たわみ、身悶えする私の肌に喰い込む。腹部を強ば
らせ、乳房を大きく波うたせながら、私は咽喉元を烈しく痙攣させた。
「いい色に肌が染まってきたぜ…こんな風に虐められるのは初めてじゃないみたいだな…」
陰気な笑いを浮かべた男は、ゆっくりと私の首筋の髪を掻き上げると、耳元で小さく囁いた。
ひゅぅー ビシシッー…
男が縦に大きく振り下ろしたベルトの先端が、私の双臀の割れ目を切り裂くように深くえぐる。
ひいいっ……… ああっーーーっ
烈しい痛みが骨髄を電流のように流れたとき、生きた海老が撥ねるように身をしならせた私は
けたたましい悲鳴をあげ、両腿をにじり寄せながら床にがっくりと膝をついた。
窓ガラスの前で崩れるように膝をついた私は、男に髪を鷲づかみにされると床を引きずられ、
ベッドに放り出されるように引き倒された。そして男は私の両腿を強引に引き裂くように広げ
ると、股間に顔を埋め湿った秘肉の合わせ目をえぐるように熱い舌でなぞりあげた。
男の荒い息づかいとともに私の下半身が身悶えすると、ベッドがギシギシと軋む…。
汗で湿った太腿をよじるたびに腹部の窪みが波を打つ。淫汁がじわじわと滲み出て、彼の舌を
ねばねばと包み込むのが自分でもわかった。彼の唇の卑猥な粘着感に、私は押さえきれない疼
きを覚えた。内腿の付け根から、臀部のすぼまり、そして、肉襞の体温まで男に嗅がれる恥辱
の烈しい疼きに、私はからだのすべてを彼に壊して欲しいとさえ思ったのだ。