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『詠子の恋』
【スポーツ 官能小説】

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『詠子の恋』-9

(が、がまん……しないと……!)
 膨らむ“尿意”と同時に、快楽も頂点を目指している。“放尿”の開放感は、間違いなく快楽を引っ込めてしまうから、自慰を始めた以上はやはり、きちんと最後まで上り詰めたいと思う気持ちが強かった。
 それなら、“クリ×リス(陰核)”を弄るのをやめればいい話なのだろうが、一度自覚した“尿意”は、もうきっと収まらないだろう。陰唇を嬲るゆっくりとした快楽では、おそらく間に合わない。

 くりくりっ、くにくにくにくにっ……!

「ンふッ、あくっ、ンッ、ンンんっ!」
 だからこそ、“クリ×リス(陰核)”を強く激しく嬲ることによって、“尿意”が限界を超えるよりも先に、性的に達してしまおうと、詠子は思っているわけである。
「あっ……こ、こっちも、きたっ……!」
 じわじわと駆け上がってくる、性の高揚感。それが身体の隅々に達すれば、エクスタシーを感じることが出来る。
(よ、吉川クンが、こんなわたしを見たら……!)
 “尿意”を我慢しながら、“クリ×リス(陰核)”を嬲って自慰をしている自分の姿が、普通でないことは自覚している。
「あ、やっ、やあっ……!」
 吉川のことが脳裏をよぎったその一瞬、隙が生まれてしまった。
「あっ、で、でるっ……!」

 じょろっ……

「だ……だ……め……い、や……!」

 じょっ、しょろっ、しょおおおぉぉぉ……

「あ、ああ……」
 ほんの一瞬の気の緩みが、“尿道口”の緩みにも繋がってしまった。

 しゃああああああぁぁぁぁぁ……

 と、詠子の股間から放たれた金色の水流が、便器の奥にある水溜りの中に向かって弾け迸り、大きな水音を発てていた。
「で、ちゃ……った……」
 もう少しで絶頂に届くところだったのに、先に催した“排泄欲”の方を開放してしまった。
「あふぅ……ん……」
 その漫然とした心地よさに、詠子は放心している。性的な絶頂が体を走ったときとは違う、“放尿している時”独特の、生物としての快楽に酔いしれている様子でもあった。

 しょろっ、しょろろっ……

 やがて水流の勢いは弱まり、名残の飛沫が幾筋か散ったところで、詠子の“放尿”は終わった。
「……はぁ」
 広範囲に小水が飛んだので、“黒絨毯”にも水飛沫が散って、水気の多い滴りをポタポタ垂らせている。
「おしっこ、さきに、でちゃった……」
 その開放感に満腔を支配され、一瞬垣間見えたはずの性的な昂ぶりは、頂に届かないまま、収束してしまった。
「……ふぅ」
 詠子は、もう一度ロールペーパーに手を伸ばすと、それを何重にも巻き取って、小水に濡れ光る股間を拭った。自慰をしていたから、粘り気の多かったはずのその部位は、しかし、放尿してしまったことで水気に塗れ、ロールペーパーをすぐに水浸しにしてしまった。
 何度もその部分を拭い、詠子は放尿の後始末に心を砕く。達しなかったとは言え、自慰の続きをすることは、もう考えてはいなかった。
 水洗を作動させながら、腰を上げ、膝の辺りで伸びていた下着を元に戻すと、スカートの裾を下ろす。そしてそのまま個室を出て、誰もいない廊下を進んで教室に戻り、机の上にある一人分の課題を無造作にまとめて、手提げの大きなかばんに詰め込む詠子。
「はぁ……」
 そのアンニュイな溜息は、自慰で最後まで達することが出来なかった欲求不満か、もしくは、吉川と過ごせる時間が、ゼミの中だけで終わってしまったことへの残念な思いからでたものか…。
(吉川クン、図書館にいるんだろうけど……)
 おそらくは、広げた課題を前にして唸っているに違いない。
(あんまり、心配させたくないし……パンツも、汚しちゃったし……)
 股間のところの丸い沁みは、乾かずにまだ残っている。
「帰ろう……」
 もう一度、溜息を零してから、全ての準備を整えなおして、詠子は教室を後にしていた。


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