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『詠子の恋』
【スポーツ 官能小説】

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『詠子の恋』-32


 しょろっ、しょろっ……

「あ、ふ……う……」
 やがて水流は穏やかなものになり、名残を数滴、夫の顔に向けて搾り出してから、それはようやく終わりを迎えた。
「ん、ふ……でちゃった……いっぱい、でちゃった……」
 濃い匂いのアンモニア臭が、バス・ルームの中に立ち込める。その匂いに充てられたように、弘治の顔を太股に挟んだまま、詠子の腰が妖しく蠢き続けていた。
「ぷ、はぁっ……」
 やがて、全てが終わってから、可愛い奥さんの太股の間に埋まっていた弘治が、その顔を開放する。ゴーグルをつけてまで、“放尿”の一部始終を目の前に見ていた彼は、しかし、さすがにそれを口にするのは憚れたので、口を閉じて息を止めていたのだ。
「ふふ。アナタ、びちょびちょじゃないの……」
 すぐに詠子が、シャワーを出して、自分が出した体液に塗れた、夫の髪をすすぎ始めた。まるで子供のように、可愛い奥さんの成すがまま、髪を洗われる弘治であった。
「今日は、長くて、苦しかったなあ」
「ごめんなさい。ちょっと、我慢しちゃってたの」
 洗髪を終えて、同じ湯船に身を浸しながら、仲睦まじく体を抱き締めあう新婚夫婦の姿である。
 二人が今やっていたことは、かなり常軌を逸していたように見えるが、そこにある愛情は確かなもので、こうやって身を寄せ合ってお風呂に入っている様子を見れば、その間にある夫婦としての固い絆は、その紐帯の強さをいやがうえにも知らしめる。
「ん? よみ、どうした?」
 ふと弘治は、ほぼ密着している状態の、可愛い奥さんの腰が落ち着いていないことに気がついた。
「あの、ずっと、おしっこ我慢しちゃってたから、その……あんっ……!」
「ここも、疼いちゃったわけだね」
 お湯の中で、弘治の雄々しく反りあがった男の象徴が、詠子の膣口に押し当てられていた。
「や、やぁっ……つっつくだけじゃないで……ちゃんと、して……」
「わかった、わかった……っと」
「ひぁんっ!」
 ずぬり、と、慣れ親しんだ可愛い奥さんの胎内に、弘治は全てを埋め込んだ。
「うわあ、奥の方までヌルヌルだ。よみ、エッチだね」
「や、いわないで……」
「二週間ぶりだもんな……っと」
「あぁんっ!」
 ざばり、と、お湯が揺れたのは、弘治が繋がったまま腰を突き上げたからだ。
「もっと、もっと、して……おねがい、アナタぁ……」
「わかった、わかった……っと」
「いぁんっ!」
 新婚早々、夫の出張によって二週間離れ離れにならざるを得なかった二人だが、それがようやく終わって、この夜は、お互いもてあましていた性欲を、思う存分に開放していた。
「だいぶ溜まってるから、一回だけじゃ終わらないよ」
「んっ、い、いいのっ……わたしも、一回だけじゃ、いやっ……!」
 ざぶざぶ、と、お湯が揺れると同時に、詠子の喘ぎがバス・ルームに響き渡る。
「オ、オナニーも、ずっと我慢してたの……だから、したくて、したくて、仕方ないのっ……!」
「そっか……えらいよ、よみ……っと」
「あぁんっ!!」
 ざぶざぶざぶ、と、バスタブの中から、お湯が零れてしまうぐらいに、激しい交わりを二人は繰り返していた。
 その後、バスタブの中で1ラウンド目を終了させると、脱衣所で体を拭きあっている最中に、“立身後背位(立ちバック)”でもう一度、詠子の腰が立たなくなるほど激しく交わり、ベッド・ルームに場所を移してからは、更に激しさを増して、5回もハッスルを繰り返した。
「アナタ……大好きよ、アナタ……」
「うん……僕も大好きだ、よみ……」
 裸のままで抱き合って、付き合いを始めた大学時代から、ずっと変わらない絆の強さを確かめ合って、幸せな眠りの中に二人は漂っている。
「こうクン……大好き……」
 その夢の中でも繰り広げられている、出会いから始まる“詠子の恋”を辿った物語。
 それは、こうして、ひとまずの“結(むすび)”を、迎えたのであった…。





 −『詠子の恋』了−



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