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『詠子の恋』
【スポーツ 官能小説】

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『詠子の恋』-13


「………」
 ランチタイムの終了時に、弁当箱は軽く水ですすいでいたが、部屋に戻ってからそれをもう一度、洗剤を使ってきちんと水洗いをする。
 今まではひとつだけだったが、二つ分のそれを洗うようになって、その度に詠子は、昨年から激変した自分の状況というものに、我が事ながら信じられない思いを抱くのであった。
(男の子に、お弁当を作るなんて…)
 女子高時代には、全く考えもしないことだった。ただ、自分の作る弁当を喜んで食べてくれる人がいると考えると、増えた手間は全く気にならないどころか、逆に嬉しくなってくるから不可思議極まりない。
(由美も、こんな気持ちなのかな……?)
 まとまった休みがあると、そのうちの一日は必ず彼氏のアパートに出かけて、家事にいそしんでいるという、堅物だったはずの旧友を思い浮かべ、頬を緩ませる詠子であった。
 洗い終わった弁当箱を、大事に二つ並びあうように片付けてから、少し身体が汗ばんでいるのが気になった詠子は、衣服を脱ぐと、軽くシャワーを浴び、バスタオルを肩にかけただけのほぼ全裸というべき状態で、姿見に映る自分の全身を眺めてみた。
 運動をほとんどしてこなかったこともあり、色白の、やや肉づきの目立つ姿ではあるが、その分、乳房にはボリュームが備わっている。肩がこるだけで他に取り柄を感じなかったその部分だが、もしも吉川がこれを見れば、“小さい”よりかは喜んでくれるんじゃないかとも思った。
(って、なにを考えているの)
 それを見せる時が、本当に来るのかも怪しいというのに。
「……そろそろ、手入れしなくちゃ」
 視線を下ろした詠子は、いわゆる“Vゾーン”に黒々とした“絨毯”のように生えているアンダー・ヘアが、いささか不恰好になっているのを確認して、いつも使用している整髪用のハサミを手にすると、揃いすぎにならないように注意しながら、丁寧にハサミを入れ始めた。
「………」
 おそらく、一般の女性に比べれば、自分はシモの毛が濃いほうだと思う。身体一帯はそうでもないのに、陰毛だけは生長がとても早く、気がつけば密林のように繁茂している状態になる。
 水着を着る機会は、まったくない詠子だったので、アンダー・ヘアの手入れについては、衛生的な観点かつ、自分が気にならない程度に収めていた。
(吉川クン、毛が多い子はイヤじゃないかな…)
 ハサミを入れつつ、また吉川のことを思い浮かべる詠子。
(こことか、大丈夫かな……)
 “Iゾーン(陰唇部)”や“Oゾーン(会陰・肛門部)”のところまで念入りに鏡に映して、陰毛の状態を確かめていた。
(“あそこ”って、いつみてもグロテスクよね)
 自然、自らの陰部の全容が鏡に反射して、詠子の目に映る。自分が持っている器官だというのに、まるでアワビのような外見をしたそれは、シャワーを浴びた後だということもあって、うっすらと濡れ光っていた。
(いつか、ここも、彼に見せるときが来るのかな……)
 詠子は、当然ながら誰の目にも触れたことのないその部分を、指で広げながら、じっくりと見ている。よく洗っているので、一見する限り、恥垢などは見当たらない。
 ちなみに、“Iゾーン”と“Oゾーン”をチェックするため、詠子はいま、姿見を前に四つんばいになった体勢でいる。お尻を高く挙げ、股座(またぐら)の間から覗き込むようにして、自分の陰部を見ているのだ。
「あ……」
 そんな体勢で、吉川に陰部を見られている自分を想像した詠子。それに反応するかのようにして、裂け目の中央から少しだけ、透明な蜜が滲んできた。
「………」
 躊躇いはあったが、陰部を広げている右手の指が、その蜜が滲む場所に触れた。
「ん……」
 じんわりと、甘い感触が陰部から全身に広がって、詠子の喉がかすかに鳴った。


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