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It's
【ラブコメ 官能小説】

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☆☆☆☆-1

日曜日の昼は、湊が焼きうどんを作ってくれた。
陽向は洗い物をして「課題あるし、そろそろ帰るね」と帰る準備を始めた。
「おう、あと1週間頑張ってな」
「うん!終わったら沖縄行こうね!」
「あいよ」
湊が玄関まで見送ってくれる。
「ばいばーい!」
「じゃーな」

昨日、テレビでハワイの特集をやっていた。
「きれー!行きたーい!」
「ハワイ行きてーの?」
「うーん。沖縄でもいい。沖縄行きたい!」
「沖縄ねぇー…」
「行きたくない?ねー、沖縄旅行行こーよー」
湊はコーヒーをすすり、「んー。旅行ねぇー」と言った。
「行きたい!行きたい!沖縄!あたし調べるから行こうよ!」
「んじゃー夏休みは沖縄行きますか!」
「やったー!実習終わったらすぐ調べるね!」
「安いのにしてな」
湊はなんだかあまり乗り気じゃなさそうだ。
ボケーッとテレビを見ながら陽向に相槌を打つ。
「なんか嫌そう!」
「嫌じゃねーよ。行こ、沖縄。俺ら最後の夏休みだし」
「あー、もー来年は社会人かぁ…。やだなー。てか湊就活は?!」
「ん?まだだけど?」
そういえば、湊は就活もせず、毎日バイトばかりしている。
世間は就職難だというのに、この余裕ぶっこいている感じは何なんだ。
大丈夫なのだろうか。
「まだだけどって…大丈夫なの?」
「やりてーこと無くてさ。好きでもない会社に就職して、面白くない仕事して毎日が過ぎてくってもったいなくね?人生まだまだ長ぇーんだぞ。やりたいことやりてーじゃん」
「そりゃそーだけど…」
「やりたいこと見つかるまで就活しねーつもり」
「えっ?!何それ!」
「じゃあお前は看護師って仕事がなかったら何すんの?OL?」
「え…わかんないよ、そんなの。他にやりたいことないし…」
「だろ?ま、こんな人生もありっしょ」
湊はヘラヘラ笑ってまたコーヒーをすすった。
将来性がなさすぎる。
やりたいことないって何よ。
でも、湊らしい考えだなーと思ってしまう。
「湊のやりたいことって何?」
「んー…わかんね」
「じゃあ好きなことは?」
「音楽、酒、スポーツ」
「酒って」
「んー。何だろなー。人の少ないのどかな場所で働きてーなー。こう、ごちゃっとしてる場所って嫌いなんだよ。あ、ライブは別な。東京とかさ、人ばっかじゃん。そーゆーとこでは働きたくねーな」
「ふーん…」
なんだかよく分からない。
とりあえず、早く就職決まるといいな。

陽向は炎天下の中、ノロノロとマンションまで歩いた。
暑い…。
やっとの思いでエントランスに辿り着き、まずポストを開ける。
ダイレクトメールがたくさん届いている。
その中に、宅配ボックスに届け物があるという不在伝票が入っていた。
何だろ?
何も頼んでないはずだけど。
実家からかな?
陽向は宅配ボックスを開け、中身を取り出した。
何でもない小さなダンボールだ。
差出人は不明。
更に意味不明だ。
とりあえず受け取り、部屋に帰る。
部屋のドアを開けると、モワッとした空気に包まれた。
日当たり良好過ぎると、夏は辛い。
陽向はバッグを床に起き、ソファーに座りダンボールのガムテープを剥がした。
ドキドキしながら開けると、また小さなダンボールが入っていた。
…何?
またそのダンボールのガムテープを開けると、悪臭と共に黒い何かが目に飛び込んできた。
「わっ!!!」
陽向はソファーから立ち上がり、後ずさりした。
中に入っていたのは、ネズミの死体だった。
何これ…誰…。
陽向は半ベソでダンボールをひっ掴むと、何重にもしたビニールに入れて外のゴミ捨て場に捨てた。
部屋にまだ悪臭が漂っている。
窓を全開にして、消臭スプレーを撒き散らす。
なんなの…。
その時、はっと思いついた。
まさか。
陽向はiPhoneを取り出すと、優菜のブログにアクセスした。
パスワードを入力し、金曜日の記事から見ていく。

『いいもの捕まえた。プレゼントしてあげようかな♪』

その下には、先ほどのものと思われるネズミの死体の画像が貼り付けられていた。
やっぱりそうだ…。
生き物を殺し、それを送りつけてくる神経を疑う。
本気で精神科にかかった方がいい。
陽向はソファーに寝転がり、頭を抱えた。
普通じゃない。
異常だ。
いや、異常を通り越している。
明日から一体どうすればいいのか。
こちらが毅然とした態度でいても、向こうは裏から攻めてくる。
明日もにこやかに挨拶してくるに違いない。
もう、どうしようもないのだろうか。
優菜の行動がどんどんエスカレートしていきそうな気がして怖い。
誰かに言うべきか。
でも、言ったところで終わるとは思えない。
むしろ逆上させてしまうだろう。
こんなこと、湊に言えないし。
自分でどうにかするしかないのか…。


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