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太陽が眩しかったから
【痴漢/痴女 官能小説】

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接吻-1

 身体じゅうが快楽で満たされ、膨れ上がった水風船に穴が空いてしまったように、私の中から官能の水が噴き出してしまいました。穴から水が噴き出しつつも、それでも風船はパンパンに満たされたままになるくらいの勢いで、新たな水が注ぎ込まれているかのようでした。
 破裂したのに水が満たされたまま、と言うべきかもしれません。一度イッたあとなのですが、私の身体は依然、感度を増したまま快楽に溺れていたのです。

 要するに、身体じゅうが敏感になっていたのです。ただの痴漢で飽き足りなかった男は、頭も身体も麻痺してしまった私を強引に動かし、顔を見られることも構わず私と真正面に向かい合いました。紺色のスーツで、黒縁メガネをかけていました。年は二十代中盤くらいだと思います。目力のある、色の黒い人でした。

 身体を縮こまらせ、おどおどと上目遣いで見つめていると、ゆっくりと男の顔が近付いてきました。それから逃げるように身体を反らす私。でも、私はすぐに後ろの壁に追い詰められ、腕をつかんだ男の唇から逃れきることはできませんでした。
 「んっ、んちゅ…ちゅ……」
 のけぞる格好なので、顔を少し上向きにして、覆いかぶさるように上から私の唇を吸う男。快楽だけを目的とした男は、なんら躊躇することもなく、舌を侵入させてきました。そんな無理矢理のディープキスにもかかわらず、絶頂の直後にあった私は、その乱暴な接吻にもわずかに快感を覚えてしまうのでした。

 「んちゅ…んぁ、んっ…」
 唇をくっつけたまま、男は私の頬に片手、もう片手を後頭部に回し、恋人どうしがするような濃厚なキスを強要してきました。
 「おい、ちゃんと舌からめろ」
 真っ黒の瞳が、脳に直接命令するかのように私の目を覗き込んでいました。恐怖心からか、思考能力が麻痺していたからなのか、はたまた、あってほしくはありませんが、もしかすると、どこかでこの状況に楽しみを見出してしまっている私がいたのかもしれません。私はその命令に、大人しく忠実に従って、男のねっとりとした舌に、自分の怯えて固い動きの舌をからめていきました。

 ジュルッという唾液をすする音が響きます。根元から舌をすする、濃密なキスの音。薄く目を開けてみると、一心不乱に唇を貪る男の顔がありました。ハイエナにたかられた獲物のように、ただただ己の欲を満たそうと全力を注ぐ、その受け皿としての自分を感じました。
 歯茎や口腔の至るところにも舌が這いまわり、口じゅうを男が踏み荒らしていきます。思った以上に舌というのは柔らかいもので、何とも言えない滑らかな舌のぶつかり合いが、私を緊張させたままにしておきます。全神経が口に集まり、いいように吸われる私の舌は、敏感にその感触を堪能していました。

 耳に入ってくるのは、ガタンゴトンという電車の金属音と、内側から鼓膜を揺らす、キスの艶めかしい音だけでした。それを聞いていて、ふと私の意識が口から離れました。つい男のキスばかりに意識がいっていた私は、ふいに公衆の面前で痴態を晒していることを思い出しました。

 途端に羞恥心が膨れ上がり、顔が熱くほてったのを感じました。こんな姿が衆目にさらされている。お願いだから誰にも見られてないで、と心の中で叫んだ私は、横目になってあたりの様子をうかがいました。
 そこで見たものに、私は目を疑いました。車両の隅の私に覆いかぶさるように立つ男、その背後で、二人の男たちが、横目で私をみつめながら、カバンで隠すようにして自分のおちんちんを擦っていたのです。

 驚きがガツンと衝撃を与え、寒気を覚えると同時に闇に飲み込まれるような、得も言われぬ絶望感を感じました。羞恥心と恐怖心も、もうはちきれんばかりに膨れ上がります。私が無理矢理キスをされている姿を見て、男たちが発情している。そんなに自分は欲情をかきたててしまうほどなのか。そう思うと、自分がとてつもなく淫らなメスであるように思えてきました。

 胸がつまりそうになります。いろんな感情がひしめきあい、ここから逃げ出してしまいたいという思いが頭を占領します。これ以上醜い姿をさらしたくない、これ以上辱めを受けたくない。そう心の中で願っていたはずなのに。
 「おい、唾飲めよ」
 男の冷笑を帯びた声がして、トローっと流し込まれた唾液の味が舌に染みわたり、自分の心を裏切って、私はその唾液をゴクリと飲みこんでしまいました。

 言いなりになって唾を飲まされる私。頭の中はゴチャゴチャにこんがらがって、もう何をどうすればいいのか。嘲るような男の表情を見て、私は泣きだしそうな顔になりました。
 そして男が言いました。
 「後ろで見てる人たちにも参加してもらおうか。仲間は多い方が楽しいもんな」

 「いや…」という小さな拒絶の声は雑音に消され、男たちが私を取り囲みました。




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