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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第14話-30


 『龍介さぁん、足りません、もっと、もっとしてください……』
 『そ、そやけどな、お腹の子に、障るんじゃあ……』
 『赤ちゃんも、いっしょにダンスを踊りたがってるんです……』
 『おわっ、由梨っ……ひっ……うあっ……』
 『ああ……素敵……パパと、ママと、もっとダンスをしましょうね……』


「………」
 連続絶頂による失神から覚めて、大和の腕の中に抱かれている桜子は、日付が変わっても止まない隣の睦言を耳に聞きつけながら、乱れ狂った自分の痴態を思い出して、頬を火照らせていた。
(恥ずかしい……)
 いわゆる“イキっぱなし”の、あんな状態になったのは、初めてだった。
(絶対に、聞かれてるよ……うわぁ、もう……)
 壁一枚を隔てて、姉妹がそれぞれの愛する男に抱かれて乱れるのは、初めてではないが、我に返ればその浅ましさに苛まれてしまう。そのあたりは、まだ“乙女心”が顔を出す、桜子なのである。
「すぅ……すぅ……」
 かたや、大和は、三度の放出を桜子の中に果たした後、その体を丸ごと抱きしめるようにして、眠りについていた。つまり、桜子は今、大和の“抱き枕”になっている状態になっている。
(んー……)
 安らかな寝息を立てる、愛する人を起こさぬように、桜子は身動きをしないで、覚めてしまった眠気をもう一度引き戻そうと努めている。

 『あっ、あっ、パ、パパ、もっと、もっとダンスさせてっ……!』
 『お、おおっ……由梨っ、由梨っ……!』
 『いや……わたし、ママになるんです……だから……あっ、あっ…!』
 『マ、ママ……うっ……ママ……』
 『あはぅ……もっと……パパぁ、もっとぉ……!』

 それを許さない、隣の睦言に、苦笑せざるを得なかった。
(だいじょうぶなのかな……赤ちゃんに、無理させてないのかな……?)
 安定期に入ってしまえば、普通にセックスをすることに問題はないと聞いていても、“普通”でないぐらい乱れに乱れている睦言を聞いてしまえば、由梨の中に宿っている自分にとっての“甥”か“姪”のことが心配になる、“叔母さん”の桜子であった。
(“おばさん”って、いわないでよぉ)
 …事実なんだから、いいじゃない。ってか、こっちに割り込むんじゃありません。
 さて、である。

 ぎゅ…

「あっ……」
 自分を抱き締める、大和の腕に力が篭もった。彼は今、夢の中で一体誰に甘えているのだろうか。
(お母さんに、かな……フフ……)
 ひょっとしたら、隣の睦言が耳に入って、夢の中で胎児に戻った大和は、母親の温もりをを求めて、桜子を抱き締めたのかもしれない。
 そんな他愛もないことを、思ってみるのだが…。
「さくら、こ……」
「!」
 その口から零れた寝言に、夢の中でも大和の求めている存在が自分である事を知って、桜子の胸に溢れる愛しさが、いや増しに増した。
(あたしを、こんなにも、信頼してくれてる……)
 身も心も、全てを自分に委ねて、安心した眠りについている大和の姿が、桜子には本当に可愛く、そして、愛おしく思えて仕方がなかった。
「安心してね、大和……あたしは……」
 大和の“大志”を改めて思い起こし、湧き上る寂しさを振り払うように、桜子もまた、胸に宿した“決意の灯火”を、大和の腕に抱かれながら、薄闇の中で確かめていた。



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