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恋する気持ち
【学園物 官能小説】

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恋する気持ち-5

ずっと、誰にも告げることなく隠し続けてきた俺の気持ちを、こいつはちゃんと気がついてたみたいで…。
「直樹みたいた不器用な人には、俺みたいな世話焼きがいなきゃね」
そう言われた時、もしかして、俺の運命の相手は泰臣なんじゃないかと軽く不安になった俺…。

とにもかくにも、泰臣の段取りによって、ある寒い冬の日の放課後、告白場所となる教室にいよいよ阿川登場…の直前。
俺が、告白を――された。
それも『阿川ではない』女子に。
予想外の展開に頭が真っ白で立ち尽くす俺と、うつむき、真っ赤になって俺に想いを告げてくれるその子の向こうに……阿川が、いた。

当然ながら、泰臣考案の大作戦は幻と消え…結局、バスケットでは夢破れ、好きな女に告白さえもできないまま、詰めの甘い男である俺の高校生活は――今日、終わろうとしている。

第25回、翔嶺高校卒業式。


「…なぁ、直樹。お前、本当にこれで卒業しちゃっていいわけ?」
暖房の効きが悪いのか、3月だというのに寒さ厳しい体育館。
そのステージでは、卒業生が一人ずつ壇上へと呼ばれ、卒業証書の授与が厳かに進行されている。
「いいわけもくそもあるか。留年しろっつーのかよ」
小声で喋りかけてきた泰臣に、同じく小声で返す俺。
担任がわざとらしく咳払いしてるのは、うるさいと言いたいんだろうな。
「違うよ…燈子女史だよ。今日で会えるの最後だぜ。今までみたく、学校来れば会えたのとは違うんだぜ」
――わかってるよ、そんなこと。
嫌っていうくらいに。
でも。
今さら、どうしろって言うんだよ。
だって、あいつは来月から…。

「3年D組」

俺たちのクラス。
マイクを通した担任の声が、会場内に響き渡った。
「阿川燈子」
「――はい」
出席番号1番は、長い黒髪の少女。

(…変わらないな)
真っ直ぐに伸びた背中も、凛としたちょっと低めの声も。
七年前、突然の恋に落ちた――まだ幼さの残るあの日から。

…ずっと、ずっと、大好きだった。
バカみたいなくらいに俺は、阿川以外の女が目に入らないほどで。
そのくせ、想いをはっきりと形にすることを怖れて。
この気持ちに、いつか『終わり』が来るということから逃げ続けた。
だから。
そんな俺に――天罰が、下ったんだ。


「大学は、関西のほう。4月からは、向こうで一人暮らしになるわ」

卒業式を10日後に控えた、ある冬の日の放課後。
どんより雲から小雪がちらつく寒さの中、自由登校となって久しぶりに会った阿川から告げられたのは、想像もしていなかった未来だった。


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