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【教師 官能小説】

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恋する放課後-3

薄汚れた上履きを引き摺るように、廊下を進んでいく。


午前中に降っていた雨も今はすっかり止んで、灰色の雲の切れ間から眩しいほどの日差しが線を引いたように窓から降り注いでいた。


手にはズッシリ重い、英語の問題集。一冊2センチほどの厚さでも、クラス全員分ともなれば、重さも高さも結構なものになるので、足下を慎重に確かめながら歩いていた。


この問題集の重さが俺の心の重さ、この高さが俺と雅の間を隔てる壁の高さのようで、深いため息がまたしても出てしまう。


やっぱり浮かないままの気持ちが払拭できないのは、雅の前で失態を晒してしまったからだろう。


もっと距離を縮めたいのに、これ以上カッコ悪い自分を見せるのが怖い。


自分の望みと保身にズレがある今の状態は、まるで天秤でユラユラ揺れているようだ。


俺は一体何がしたいんだ?


自分の気持ちが整理つけられないまま、階段を降りようとしたその時だった。


「風吹くん!」


思いもよらない人物から名前を呼ばれて、驚きのあまり俺は持っていた問題集をリノリウムの床の上にぶちまけてしまった。


ああ、またしても大失態。


彼女の顔をまともに見ることができなかった俺は、舌打ちを一つしてその場にしゃがみ込んだ。





「だ、大丈夫……?」


慌てて俺の側に駆け寄った雅は、戸惑いながらも一緒にしゃがみ込んで問題集を拾いだした。


ふわりと鼻にかかる、柑橘系の香りは柔軟剤か何かだろうか。


フェロモンをふんだんに放出させようと香水まみれになっている兄貴目当ての女達なんかよりも、遥かにいい匂いがしてドキドキと心臓が高鳴っていく。


ピンと張ったタイトスカートからニョキッと出た太ももに生唾が込み上げて思わず嚥下した音が聞こえてしまった気がして、慌てて俯いた。


せっかく彼女との距離を縮めるチャンスだと言うのに、こんな風に挙動不振になってしまって。


あー、ハッキリ言ってキモい、俺。


ここで何か口に出そうものなら、絶対にボロが出そうな気がしたから、俺は黙って問題集を拾い集めることにした。






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