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『神々の黄昏』
【SM 官能小説】

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第4章-2

「それで」
 祐志は先を促した。
「私は、ただ利佳を北岡さんに引き合わせたら、高橋さんといっしょにその場から消える、というだけの役割だったんだけど、利佳はもっと大切な役割らしくて、日曜日も、そして月曜日も学校を休んでリハーサルに通ってたわ」
「ダンスのリハーサル?」
「うん、それもあるみたいだったけど、利佳は変なことを言ってたわ。ブラのホックをペンチで広げて外れやすくするだとか。谷本さんに何度も何度も背中に手を当ててもらって、簡単に外れるかどうかを実験していたみたいよ」
 なるほど。祐志は納得した。あの時、簡単にブラジャーのホックが外れたのはそういうからくりだったのか。
すべては仕組まれたシナリオだったのだ。そして利佳はそのシナリオに沿って行動していただけなのだ。まさかそのシナリオの延長線上で、自分が殺されることになっているなどとは想像もせずに。
「それじゃ、あのダンスパーティーというのも」
「うん、あれも虚構のお芝居。あそこで普段はダンスパーティーなんて開かれていないそうよ。大勢いた人たちも、みんな谷本さんに雇われたエキストラだよ」
「なるほどねえ。それで君たちはいくらもらったんだ?」
「私は一万円。でも利佳は二十万円もらえるって言ってたわ。あの子、最近見てないけど、たぶん大金をもらって、どこかで遊びほうけてるんだろうね」
 祐志は利佳が殺されたことを智子に話そうかと思ったが、それは思いとどまった。思春期の少女には衝撃が大きすぎると考えたのだ。
「他に知ってることは?」
「そうねえ。そうそう、利佳と私の役割分担だけど、高橋さんが私と利佳の顔を見比べて、こっちの方が北岡好みだって言って利佳を選んだのよ。失礼な話よね」
「それでぼくと利佳さんを引き合せた後、君たちはどうしたんだ?」
「高橋さんに車で送ってもらって家に帰ったわ。それだけ」
「家はどこ?」
「青葉台。田園都市線の」
「ふうん。そうだ、君、利佳さんの家も知ってるかい?」
「うん、知ってるよ。あの子は厚木。小田急の本厚木駅からちょっと行った所で、妻田小学校のすぐ近くだよ」
 そう言って、智子は祐志の求めに応じて地図を書いてくれた。そしてそれを祐志に手渡すと、智子は一段と申し訳なさそうな顔をして、
「私、やっぱり悪いことをしたんだよね」
「気にすることはないよ。君たちは利用されただけだ」
「でも、やっぱり謝らなきゃ。お詫びの印に、私、パンツを脱ぐわ」
「えっ?」
 きょとんとする祐志をよそに、智子はいきなり立ち上がると、スカートの中に手を入れて、するするとショーツを足元までずり下ろした。そして片方ずつ両の足から抜いた。
「はい、これ、北岡さんにあげる。私、罰として今日は一日ノーパンで過ごすわ」
 祐志は小さな水色のショーツを智子から受け取った。
「君、本当にノーパンなのか。まだ下に何か穿いてるんじゃないのか」
「穿いてないよ。本当にノーパンだよ。このあたりがすこすこしてるわ」
「じゃ、スカートをめくって見せてみなさい」
「ええっ!」
「君は本当にぼくに詫びる気持ちがあるのか」
 祐志は少し語気を強めて言った。
「わかったわ」
 智子はスカートの裾に両手をかけた。しかしまだもじもじしているようだったが、やがて決心したように頷くと、両手でガバッとスカートをめくり上げた。
 本当にノーパンだった。裸の股間が現れた。毛は利佳よりも少し濃いめだろうか。祐志はしげしげと見つめた。
「北岡さん、もういい?」
 恥ずかしそうに泣きそうな声で智子が言う。
「ああ、いいよ。無理強いしたようで悪かったね」
「ううん」
 ちょうどその時、始業を告げるチャイムが鳴った。
「じゃ、授業があるから、私、もう行くね」
 智子はノーパンのまま、制服のミニスカートの裾をひらひらさせながら応接室を出て行った。そして祐志の手元には、利佳の家の地図とともに、まだ智子の体の温かみを保っている小さな水色のショーツだけが残った。


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