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熱いバトル・トーキング
【その他 官能小説】

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スタジオにて-1

 その場所は、あるスタジオの一室である。
 広くもない手ごろなその部屋の中には、
ゆったりした二人坐りの長椅子が何個か並べてあった。

 外にはカーテンを開ければ、
青々とした芝生が敷き詰めてあるのが見える。

 長椅子の配置は、
それぞれの参加者が気安く話ができるように工夫を凝らしてあった。

 しかし、そのスタジオはテレビ局の一室ではない。
 この対談の主催者の持ち物である。
 スタジオと言うよりも、彼の仕事部屋をそのように配置したのだ。

 しかし、その部屋には主催者と彼のアシスタントと参加者意外には誰もいない。
 テレビカメラも無ければ、スタッフもいない。

 その会話を記録する手段としての音声レコーダーが一つ有るだけである。
 この機器で全ての会話を長時間録音をしてはいるが、
それとて必要かどうか分からない。

 そこに、世代を代表する年齢の男女が全部で六名ほど集まっていた。
 どうやらここで、ある試みの座談会が開かれようとしている。

 各年代ごとに参加者を募ったのは、このトーキングが年齢に偏らずに、
幅広く意見を求めようと言う主催者の希望だからだ


 そこは、普通の座談会とは違って、
アットホームでゆったりとした雰囲気だった。

 長椅子の前にはケーキやコーヒー、茶菓子、そして飲み物などが置いてある。
 それは、主催者が参加者の気持ちをフランクにするために用意してあった。

 時間を気にせずに、話したいときに話すというラフなスタイルを取っている。
 しかし、アルコールだけは置いていない。
 フランクな状態でも、意識が正常でなければ、本音が聞けないからである。

  酔った勢いで、心にもない話をする輩が少なくないことを
主催者は知っているからである。
 どんなに話す内容が適切でなくても、つまらなくても
そこには話す人の真実が必ずある、と思うからなのだろう。

 そういう配慮をしてまで、言葉に真実を追究するのが、
この主催者であり、
作家でもある男のこだわりなのだ。


 その主催者は、風変わりな作風で知られる作家の竜崎信一郎である。

 彼 が出版する小説や雑誌は飛ぶように売れた。
 彼はいくつかの賞を受賞したが、その受賞記者会見に出席したことが一度もない。
 およそ彼にとって名誉や名声など眼中にはなかった。

 その彼が思いつき、企画したトーキングである。
 その企画が、後で思わぬ方向に発展していくのを誰が知るのだろうか……

 恐ろしいほどの結末になろうとは
当の主催者の信一郎はもちろん、
そして私自身も今は分かりようが無いのだから……





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