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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第11話-67

「………」
「………」
 そのまま手を取り合って、道を行く二人。傍から見れば、間違いなく、仲睦まじい恋人同士の様子である。
(コイツも、お祭りの雰囲気に乗せられてるのかな?)
 航が手を繋いでくるのは、これが二回目だ。一回目は、“蓬莱亭”からの帰り道で、暗がりを歩くことになって、それに心配を感じた航が、手を繋いできた。
『俺は、この手が、好きだ』
 そう、はっきり言ってくれたことを、結花は憶えている。
 バットを振り込んで、マメだらけになって固くなった手のひらを、それでも“好きだ”と、航は言ってくれたのだ。そのときの嬉しさを、忘れるはずがない。
(ああー、もう。時々、こんなふうにしてくるから……)
 不意をつくように、結花の心を掻き乱す、航の仕草なのだ。
 自分のことを“大事な仲間”と言ってくれたように、航の、結花に接する態度は、“野球仲間”という範疇からは大きく逸脱しない。二人で会話をするときは、だいたいが“野球”に関することばかりになるので、男女同士の“色のついた”話題というのは、結花自身があまり得意としていないこともあってか、航との間では、全くの皆無であった。
 しかし、“野球仲間”であると同時に、結花のことをきちんと“女の子”として、航は扱ってくれる。一緒の帰り道では、自分が車道側に立たないようにいつも気にかけてくれるし、歩調もしっかりと合わせてくれる。また、講義の関係資料で、本の荷物が増えたときに、さりげなく、それを持ってくれるということもあった。
(………)
 航への淡い気持ちは、募る一方だ。試合をしている時や、練習の時には、集中しているからその想いが溢れることはないが、こうやって、手を繋いでいる今の状況では、それを押し留めるのは、とうてい不可能である。
 だから、真っ赤になっている頬を見られないために、結花は団扇を口元から離せなくなっていた。その分、足元が疎かになってしまった。
「っと!」
 商店街の途中で、人通りのない裏通りに入った矢先であった。がつ、と下駄の先が、舗装の窪みに食い込んで、結花はバランスを崩してつんのめってしまった。
「片瀬!」
 左手を引っ張られる感触に、すぐに航が反応して、前のめりになっていた結花の身体を、右腕で抱きとめるように、支えていた。
「!」
「大丈夫か?」
 形の上では、軽いハグとなっている。
「だ、だ、だ、だいひょーぶ、だいぼーぶよ」
 突然、そんな状態になったものだから、結花は頭の中が一気に沸騰して、呂律がかなり怪しくなっていた。
「すまん。ちょっと、早足だったか?」
「そ、そんなことありませんことよ」
 航の顔が見られない。こんな、真っ赤になった顔を見られたら、航になんて言われるか…。
『顔が赤いぞ、熱でも出たのか?』
 そう言って、おでこなんか触られたら、この前みたいに体がいやらしい反応をしてしまって、困ったことになってしまう。


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