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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第11話-47

「ストライク!!! バッターアウト!!! チェンジ!」
 試合は、大和と隼人の、熾烈な投げ合いになっている。前評判どおりに、“最高の右腕”と“最強の左腕”が、それぞれの持ち味をフルに出して、がっぷり四つで組み合っているのだ。
「「「………」」」
 “投手戦”は、玄人好みのする締まった試合であり、観客席にいる誰しもが、二人の好投手の対決を、固唾を呑んで見守っていた。
 いよいよトップギアに入った大和は、新しい球種“スパイラル・ラビット”を絡めることによって、ウィニングショットである“スパイラル・ストライク”に更なる威力を生み出した。それが、並み居る打者から三振を量産し、特に、7回表は三者三振で相手の攻撃を終わらせていた。
「ストライク!!! バッターアウト!」
 対する隼人も、負けてはいない。7回裏の双葉大の攻撃は、7番の浦からだったが、彼を三球三振に切って取ると、続く8番の結花、9番の航からも、空振りの三振をそれぞれ奪い、三者連続三振でその回を終わらせた。
「ストライク!!! バッターアウト!!! チェンジ!」
 負けじと大和も、8回の表は、3番の隼人を含めて、またしても三者三振に切って取った。6者連続奪三振という、離れ業を演じて見せたのである。
「まったく、大したヤツだぜ」
 三振を喫しても、隼人が嬉しそうだったのは、試合前に楽しみにしていた通りの手応えを、大和が見せているからだろう。
 試合はいよいよ、最終局面に入ってきた。

 【法泉大】|000|101|00 |
 【双葉大】|001|000|0  |

 8回の裏は、1番の岡崎から打順が始まる。双葉大学としては、得点をする上で最後の機会と言っていいかもしれない。
(………)
 だから、岡崎は、ひとつ深呼吸をしてから打席に入った。自分に求められる役割はただひとつ。…どんな形でもいいから、出塁することだ。

 ズバァン!!

「ストライク!」
 内角を鋭く抉ってきた、“色即是空”をまずは見送る。回を追うごとに、さらに球威が乗ってきたそれは、マウンド上にいる隼人のギアも、いよいよ最高潮に達してきた証であろう。
 だが、気後れはしていない。
(ふっ…)
 この痺れるような試合が出来る自分を、喜んでいるところもあった。
 岡崎はかつて、甲子園にも出場したことのある選手だ。大和が1年生だった時に“甲子園の恋人”と呼ばれ、アイドルとして席巻していた大会で、大和とも直接対戦をした。
 ヒットを打ちはしたが、試合では敗れた。高校生活での野球をひとつの区切りと考えていた岡崎は、それでもう野球は辞めるつもりでいた。
 強豪の大学から、勧誘の話もあったのだが、それを固辞して、この双葉大学に進学をしてきた。物心つく前に死別した父親は、考古学に造詣の深い人物であったから、その背中を知らず彼は追いかけていたといえる。
 岡崎は、父親とは科目こそ違うが、同じく学者であった母親に手を引かれて、高校に進学するまでは転校を繰り返していた。
 野球は、関西で一時期、腰を落ち着けた時に地元のリトルリーグに参加したことで、それを始めた。2年ほどの在籍だったが、世界大会にも出場するほどの強豪チームで、彼は主力選手として活躍をした。
 中学最終学年時を前に、東海地方への転校が決まり、その時のチームメイトとは離れ離れになってしまったが、岡崎にとっては野球を通じたその繋がりを心の底では忘れられず、その思いが高校でも野球を続ける動機となった。
 そして3年間、野球に汗を流した岡崎は、甲子園での敗退をひとつの区切りとした。そのつもりだった。


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