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インスタント・ラバーズ
【痴漢/痴女 官能小説】

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グッド・モーニング-4

「ちょ、ちょっと、どこまで行くんですか」
「人が少ない場所のほうが、話しやすいでしょう?」
「それはそうですけど……僕は何もやってないんですよ」

 奥まで来ると、わたしはピタリと歩を止めた。
 そこで、腕を離して、男性と正対する。車内でチラリと顔を見ていたものの、じっくり見るのはこれが初めてだ。
 イケメンとは言わないが、道に迷った時に尋ねたくなるような、そんな優しい顔立ちをしていた。
 それが今は顔を不安げにしかめて、とんでもないことに巻き込まれたと言わんばかりの表情だ。
 わたしはこういうことをするのに、男性の顔はあまり気にしていない。
 その人の醸しだす雰囲気的なものを、わたしは直感で嗅ぎとって、その感覚を信じていた。
 あまり女性に対して手馴れていたり、あるいは粗暴な感じの男だと困ることもある。
 女に慣れた男にこういうことを仕掛けるのは、どこか味気ない。
 粗野な男だと、そもそも落ち着いて話も出来ない。
 それなりに落ち着いていて、多少女に飢えていそうな、そんな男が好ましかった。
 新人社会人といった雰囲気のスーツ姿の男性は、わたしよりは五つ程は若そうに見えた。

「電車の中で、わたしの体に、触ったでしょう?」
「そんなこと、僕は、していないんです」
「でも、わたしと目が合った時、目を逸らしたわ」
「それは……」
「わたしの胸元をずっと見ていたわね」
「違いますよ! 一瞬目に入っただけです。それに、胸元が開いているから」
「ふぅん、そうかしら。そんなに、開いてる?」
「え? ええ……上からだと、見えちゃいますよ」
「何が?」
「そ、それは、その……下着とか」
「とか? 下着以外も、見られたのかしら」

 言いながら、気持ちが徐々に昂ぶってきているのを感じる。
 ブラの隙間から、乳房の一部が一瞬見えてしまうこともあったかもしれない。
 胸の大きさには、あまり自信がない。
 見られて、男性を満足させる、あるいは劣情を喚起させるものかどうか分からなかった。
 元々、わたしの体はスレンダーだった。というか、ガリガリだったのだ。
 大手食品会社の陸上部に入った。マラソンや駅伝に強い陸上部で、わたしもその戦力として就職していた。それまで男には目もくれない、陸上一辺倒の人生だったと言っていい。
 スタミナには自信があったが、スピードの方で力がつかずに数年前引退し、今は商品開発の部署で仕事をしている。
 引退してからは体つきがふっくらとして、胸の大きさもかなり変わった気がする。
 そして、その頃から性欲が強くなってきた。


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