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インスタント・ラバーズ
【痴漢/痴女 官能小説】

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グッド・モーニング-5

「み、見てませんよ……とにかく、僕は何もしてませんし、仕事もありますから」
「そう。あ、もしかしたら……隣にいたおじさんに、触られていたのかしら。あなた、知らない?」
「おじさん? 隣に誰がいたかなんて覚えてませんし……」
「きっと、そうなんだわ。お話を聞いていたら、あなたは、痴漢なんてやらなそうだし」
「そんなことは、そのおじさんとやらに言ってくださいよ」
「ごめんなさい……わたし、つい先走っちゃう所があって」
「あのですね……こういうのって、間違われると、凄く困るんですよ。大人なら、分かるでしょう?」
「ええ……一生の問題ですものね。本当に、ごめんなさい」

 わたしは、しおらしく、泣きそうな顔をして謝ってみせる。 
 そして、謝りながら、無神経を装い挑発的なことも付け加えた。

「失礼ですけど、あまり女性と縁が無さそうに見えてしまって、それで痴漢なんかしているのかなんて、想像しちゃったんです」
「おい、ちょっと、あんた。本当に失礼な女だな……僕の女性関係なんてあんたに何も関係ないだろう?」
「ええ、そう、そうね……わたし、ちょっと口が悪くって。でも本当にあなたが痴漢してても、わたし、許してあげようと思ってたのよ」
「はああ?」
「だって、若いのに彼女もいなくて、きっと溜まってるんだろうなって。可哀想じゃない?」
「痴漢なんかしてないって言ってるだろう? 彼女がいないとか、溜まってるとか、あんたの勝手な妄想じゃないか!」

 優しそうな男性ではあったが、さすがに根も葉もない事を言われて傷ついたのか、わたしの前に詰め寄ってきた。
 眉間に皺を寄せて、今にも襟首でも掴まれそうな、まさに怒りの表情だ。
 わたしが女でなかったら、一発殴られても仕方がないような状況かもしれない。
 でも、この怒りの表情にゾクリと感じ入ってしまうのは、わたしが変態だからだろうか。
 もうひと息だと思った。もっと、怒ってほしい。

「……でも、わたしの言ってること、案外当たってるんじゃない?」
「お前、いい加減に……!」
「最近、セックスしてないんでしょう?」


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