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中道深夜探偵事務所へようこそ
【フェチ/マニア 官能小説】

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潜入への準備-1

中道深夜探偵事務所
■潜入への準備

人間というものは幻覚を見るように作られている。そして、幻覚に想いを寄せ、自分勝手に夢を見る。それが幻想だ。人間は常に幻想を抱いている。
しかし、所詮は幻想。長く続かない。いつかは現実を見る日が来るのだ。それは、夢や希望を打ち砕くかの如く残酷なことが少なくない。
そこで、人間は3つの選択肢を迫られる。

それでも自分勝手に幻想に夢を見て、堕ちて行くのか?
それとも辛く苦しい現実を受け入れ、茨の道を進むか?
或はどちらにも絶望し、自らの命を絶ってしまうのか?

さて、あなたならどうする?



「そうですか、龍一様とは上手く行きましたか」
「お陰さまで。あたし自身にも自信がつきました」
中道と相談者の女性である聡美が話していた。
「龍くんって、とってもウブなんですよ。そこが可愛くて、それでつい悪戯しちゃうんです」
「羨ましいですね」
「はい、これもみんな中道さんのご指導と坂井さんが手配下さったお陰です」
よくもまあ、これだけ饒舌に変われるものだと中道は感心する。だが、こんなものは最初から分かっていた。この女は演技していたのだ。下手な芝居しやがってと中道は思った。
「ところで、今後はどうなさるおつもりですか?」
「今後は特に決めてませんが、龍くんと一緒に住めればいいなと思ってます」
「何と、これはまた随分と気がお早いことで」
「いいえ、あたし本気です」
「はっはっはっ。そういうことにしておきましょう」
「あっ、中道さん信じてないですね。ププッ」
「さすがにそれだけは」
「じゃあ出します。これですよ、これ」
中道の口元がニヤリと笑った。念の為、尋ねてみた。
「その鍵束は何ですか?」



「Nightmare」にて…

「代表、上手く聞き出しましたね」
「いや、島田。聡美はいざとゆう時、あちらからペラペラ喋ってくれる。楽な相手だったよ。で、これが館の鍵番号とメーカー名だ」
中道はメモを渡した。館の出入口の鍵、それと各部屋の鍵一式が記されている。
「なるほど、これなら30分もあれば。いや、これなら品番からしてマスターキーも作れます」
「そうか、ならマスターキーを2本用意してほしい」
「承知しました」
「あ、それと」
「はい?」
「龍一の調査ありがとう」
「とんでもない。楽しくやらせて貰ってます。龍一様…いや彼は、イイ奴です」



中道が事務所に戻ると水樹から連絡が入った。
「代表、館の被害者を1人捕まえました。ですが、酷く衰弱しているようです」
「そうか。なら「Garden」へ連れて行ってくれ。僕も後から行く」
「了解です」
「坂井」
「お呼びですか」
「「Garden」に一報を頼む」
「承知しました」



「Garden」にて…

そこは、傘下のリゾート医療施設。過去に千恵子は検査を受けており、麻衣子も治療を受けていた。
「代表、こちらです」
水樹に案内された病室には1人の中年男が寝ていた。

『内藤』

それが患者の名前だった。


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