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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第10話-8


「誠治さんの出してくれたものが、まだ残ってます」
 ぶ、と口に含んだミルクを、なんとか噴き出さずに飲み込んで、誠治は困ったような顔を葵に向けた。
「やあ。久しぶりだったもので…」
 濃いものを、彼女の胎内に注ぎ込んだ自覚がある。後始末をしてもなお、葵の中にそういう感覚を残しているのだとしたら、今回放った誠治の精は、相当な生命力を有しているのだろう。
 葵が孕んでもおかしくない位の、高濃度生命体だったに違いない。
 誠治は、避妊具をつけていなかった。だが、それを気にする様子もなく、二人は睦みあって、そのまま果てを共に迎えていた。
 まだ学生の身であるというのに、である。
「大丈夫ですか?」
「嬉しいから、いいです」
「そ、そうですか。なら、いいですね」
「はい」
 胎内の違和感を、それでも葵は嬉々として受け止めていた。今回のセックスで、自分が懐妊する事はないと、分かっている葵である。それでもせめて、誠治が注いでくれた生命の種を、しばらくは自分の胎内に収めておきたいという、そんな想いがあっての、彼女の嬉しそうな表情であった。
 葵は、ピルの常時服用者だ。医者の処方に従って、自分の体質にあうそれを把握し、ペースを乱すことなくきちんとした服用を続けている。今の自分の身体が、妊娠に必要な排卵をしていないことは、誰よりも葵がはっきり理解していた。
「それより、誠治さんは、身体は大丈夫ですか?」
「ええ。むしろ、なんだかスッキリしてます。脈も、健康そのものです」
「よかった」
 並べられた朝食を前に、まるで夫婦のような様子の二人であった。
「2年、我慢しました」
「………」
 誠治の呟きに、葵の表情が引き締まる。
「今年こそは、皆の悲願を達成させて見せます」
 僕にとっては、最後のチャンスだから。そう、誠治は言った。
「誠治さん…」
「僕もやっと、本当の意味で力になれます。葵くんも、力を貸して欲しい」
「ええ。…わかっています」
 誠治が言う“悲願”の強さを、その側で、誰よりも近い場所で見続けてきた葵だ。
(貴方の為なら、私は…)
 思い出も感傷も、その全てを投げ打ってでも、貢献したい。
(…大和。草薙、大和)
 葵は、年に二回発行される『“隼リーグ”特集パンフレット』の、1部リーグに所属する各大学選手一覧表の中に見つけていたとある名前を思い出す。その名は、2部リーグ最強の打者として、今季から1部リーグに昇格してきたこともあり、最注目選手の一人に数え上げられていた。
 そして、苗字は変わっていたが、葵にはよくわかっている名前でもあった。
(誠治さんの夢を脅かす、敵。…必ず、潰す)
 誠治の言う“悲願成就”の一番の障害になるであろうそれに対して、葵は、静かな表情のその裏に、激しい敵愾心を燃やし続けていた。


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