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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第10話-25


 【1部リーグ第2戦 双葉大学 対 仁仙大学】
 【双葉大】|   |   |   | |
 【仁仙大】|   |   |   | |


「さあて、と。…優勝候補の、お出ましだな」
 ベンチの手前に陣取って、雄太が電光掲示板を見遣る。
 既に整列しての一礼は終わっており、後攻めということでグラウンドに散った、ベージュをメインに、赤のアンダーシャツが特徴と言える、仁仙大学のユニフォーム姿を横目にしながら、オーダーラインナップが表示されていくのを、彼は追いかけていた。


 先攻・双葉大学
 1番:岡 崎(遊撃手・4年)
 2番:栄 村(右翼手・4年)
 3番:屋久杉(一塁手・4年)
 4番:蓬 莱(捕 手・2年)
 5番:草 薙(投 手・2年)
 6番:吉 川(三塁手・3年)
 7番: 浦 (左翼手・3年)
 8番:片 瀬(二塁手・1年)
 9番:木 戸(中堅手・1年)

 後攻・仁仙大学
 1番:迫 田(遊撃手・3年)
 2番:横 山(右翼手・2年)
 3番:六文銭(三塁手・4年)
 4番:安 原(一塁手・4年)
 5番:二階堂(捕 手・4年)
 6番:佐 伯(二塁手・3年)
 7番:佐々木(中堅手・2年)
 8番:阿 藤(左翼手・3年)
 9番:関 根(投 手・3年)


「噂の4番打者だな。“隼リーグの至宝”ってのは、ダテでも何でもない」
 雄太は、電光掲示板から視線を移し、相手の一塁手に照準を合わせる。体格的にはそれほど優れているわけではないのだが、“至宝”の二つ名が大袈裟なものではないことを、あの一塁手・安原誠治は、第1戦で鮮やかに示していた。
 4打席連続本塁打。なぜか5打席目は代打が送られて、記録はそこで途切れたが、二年という沈黙の鬱憤を晴らすかのような、凄まじい打棒をいきなり見せつけたのである。
 仁仙大学は、初戦で星海大学と対戦したが、誠治の4本塁打を筆頭に、10−0と圧勝して、勝ち点3を挙げていた。悲願の総合初優勝に向けて、幸先よく第1歩を踏み出したのである。
「航は、あの安原誠治って選手とは、一応、親類ってことになるんだよな?」
 雄太は、ベンチに座ってグラブの状態を確かめている航に声をかける。それを受けて航が、グラブを片手にしながらベンチから立ち上がると、雄太の側に並ぶように立って、一塁手の方に視線を向けた。
「自分の兄嫁にあたる人の、実の弟ですから、そうなります」
 実は、あんまり面識はないんですけど、と付け加えた。兄と美野里の結婚式のときに、顔をあわせた程度だという。
「みの姉さ……義姉によると、大学に入ってから一人暮らしを始めたらしくて、野球に熱中していたのか、あんまり実家にも戻ってなかったんだそうです。不整脈だった、てことを知ったのも、だいぶ後からになってのことだったんで、義姉は相当、そのことを怒って、気にも病んでました」
「まあ、実の弟の体調不良を、後から知らされればそうなるよな」
「でも、面倒を見てくれていた恋人さんがいるみたいで……義姉は、名前も教えてくれないって、やっぱり怒ってました。お礼を言いたいのに、逢わせてもくれないって」
「へえ」
 恋人がいる、と聞いて雄太は、“優男のように見えるが、なかなかやるじゃねえか”と、誠治を少し、身近に見直した。
 不整脈による体調不良を、側で支えていたと言うことは、相当な信頼関係を築いているのだろうと分かる。そんなパートナーを得ているということは、誠治の人となりについて、推し量ることも出来る。
「まあでも、家族に心配かけちゃいかんな。航、出塁することがあったら、一言言ってやったらどうだ」
「そのつもりです」
 航にとって、実弟の動向をいつも心配している義姉の美野里は、例え血は繋がっていなくとも、大事な家族のひとりだ。その心配事を、少しでも解消できるかもしれない機会が目の前にある今、そんな好機を手放す謂れはない。
 そして、“そのつもり”ということは、航はこの試合で必ず出塁をすると宣言しているようなものだった。物静かな表情の内側に、強い負けん気があることを感じて、雄太はそれを頼もしく思った。


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