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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第9話-10


(あいつは、あいつは、あいつは〜〜!!)
 ぐるぐると、高速回転で廻るのは、エアロバイクのペダルだ。
 そして、それを廻しているのは、スパッツとTシャツを身に着けた、ラフな格好をしている結花だった。今は自宅の自室にいるから、そんな格好も許される。
 髪の毛をポニーテールに結わえて、汗に塗れながらエアロバイクを必死に漕ぎ続けている結花の姿には、独特の色艶が存在していた。
(なんつー意味深なことを! ってか、その後に、何か言うことはなかったのかっ!)
 ぐるぐるぐるぐるぐるっ、と、まるで発電機でも廻しているかのように、結花の美しい脚が高速で動き回る。
 今まさに、彼女は風と一体になっていた。…これが、外だったとしたらであるが。
『片瀬と、野球がしたかったんだ』
(!)
 不意に蘇る、航が自分にくれた言葉。いっしょに野球がしたい、という単純な言葉だとしても、状況が状況なだけに、持っている意味は非常に大きい。
 結花は、大和との再会を目標にして、自分の得意な学科とは全く畑違いと言ってもいい双葉大学へ進んできた。
 そして、念願の再会を果たし、旧交を温めたのもつかの間、大和の隣にはもう別の誰かがいることが分かり、たった一日で、ものの見事に失恋してしまった。
 ショックだったのは間違いない。だが、今は不思議と、吹っ切れたような自分がいる。
(派手に、泣いちゃったからかなぁ……)
 それも、航に促され、その背中に取り縋って、である。そして、その後を受けて航から投げかけられた言葉が、
『片瀬と、野球がしたかったんだ』
 と、来たものだから、結花としてはその先がどう続くのか気になって仕方がない。
 だが、結花の思い描くような言葉の続きはなく、今日はそのまま家路に着くことになって、現在に至っている。
(そんな風に言われたら、言われたらさぁ……!!)
 気が多い、と言われてしまいそうだが、結花をそういうふうにしたのは、間違いなく航の発言によるものだ。
(わたしが双葉に行くって言ってたのは、予備校のときからずっとだし、アイツはそれを知ってたわけで、それで、わたしと野球がしたいから一緒の大学に来たってコトは……コトは……)
 ぐるぐるぐるっ、と、思考が廻る。エアロバイクのペダルではない。
(肝心なこと、言わないでっ……!)
 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるっ、と、今度こそ、エアロバイクのペダルが廻った。
「はぁっ」
 ペース配分もなく、とにかくめちゃくちゃに漕いでいたので、結花の全身は汗に塗れて、湯気が立ち上りそうなほど熱くなっていた。
「……う」
 ふと、体の奥に甘い疼きを覚えた。
 無我夢中で漕ぎ廻していたわけだが、その分、サドルに押し付けている股間の部分も強く擦りつけられ続けていたわけで…。
「……んっ」
 結花の腰が、サドルに股間を押し付けたまま、ゆっくりと前後し始めた。甘い疼きに導かれ、その震源となっている部分に、サドルの固さを利用して刺激を与えたのだ。
 エアロバイクのサドルは、股間にフィットする形で湾曲している。しかも、お誂え向きにその先端が少し上を向いており、腰を前後することで、上手い具合に、気持ち良くなる箇所が擦り付けられるのである。


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