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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第8話-34


「すまん、やりすぎた」
「こっちこそ、その、ごめんなさい」
 広げてしまったベッドの上の世界地図。
 そこで寝るわけには行かないので、予備の布団を床に敷いて、雄太と品子は身を寄せ合っていた。
「うーん。優しくするって言っておきながら、これだもんなぁ。ごめんな、品子」
 腕の中に品子の身体を抱きしめて、雄太は彼女の髪を優しく梳っていた。
「本当に、気にしないで。私もその、乱れちゃったから…」
 まさか初めての“肛門性交(ア*ル・セックス)”で、あそこまで取り乱してしまうとは…。
(もしかして……私、ヘンタイ……?)
 口に出して言えないが、今日の悶え具合を考えたら、そう思わざるを得ないような痴態であったと思う。品子もまた、自分が“ポルチオ”の快楽に開眼し始めたことに気づいていなかった。
「品子、ありがとうな」
「どうしたの? やけに、殊勝なんだから」
 それはそれとして、今は存分に雄太の胸に甘えている品子は、いつもはお調子者の彼が、今日は随分としおらしい様子なので、幾分それが気にかかった。
「いや……その……“最後の操”ってのをきちんと貰ったんで、なんか……ふっきれったっていうか」
 思い出したように湧き上がるモヤモヤが、綺麗になくなっていることを自覚したらしい。
「雄太って、そういうところ、ほんと細かいわよねえ」
 まだそんなこと言ってるの、と言わんばかりの、品子の呆れたような表情だった。
「私の全部、あなたにあげちゃったんだから。もう、何も残ってないわよ」
 いうや、もう一度その胸に全身を預けて、雄太への親愛を明らかにする。
 それぞれの場所で体験した初めての感触を反芻しながら、その全てが雄太に捧げたものであることで、品子は幸せそうな顔をしていた。
「……いや、まだあるな」
「え?」
「品子」
 言うや雄太は身を起こして、ベッドの脇にある隙間に腕を入れる。自然、彼の身体を離れる形になった品子は、少しの不満と“?”を顔に貼り付けて、彼の行動を見ていた。
「えっとな」
「………」
 雄太の手には、小さな箱がある。
「具体的なところは、もっと先になるけどな」
「………」
「品子。その、な…」
「あ……」
 雄太が、そ、と開いた箱の中には、イルカの形をしたシルバーリングが一対、仲良くその身を寄せ合っていた。
「ドルフィンリング…」
 純朴な輝きを放つそれに、品子は惹きこまれる。そして、そのリングが持っている意味を知っているから、品子はもう一度、雄太の顔を見つめた。
「俺の、嫁さんになってくれるか?」
「!」
 雄太のプロポーズが耳に入ったのは、視線が重なった瞬間だった。
「雄太…」
 オーソドックスな言葉ではあったが、品子の心の中に、まるで沁み込んでくるようにして、それが何度もリフレインする。
「品子のことをまるごと全部、俺はもらいたいんだ」
「………」
「だから、その……俺と、結婚してくれ」
「……はい」
 返すべき答えは、ひとつしかない。そして、迷うことは何ひとつとてない。
「私を…貴方の…お嫁さんに…して、ください……」
 言葉の全てが終わらないうちに、品子の瞳は涙でいっぱいになっていた。



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