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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第8話-25


「くっそー、まさか泣いちまうとはなぁ。不覚だったぜ…」
 入れ替え戦を勝利で飾り、自分のアパートへ凱旋帰宅を果たした雄太は、皆がくれたウィニングボールを大事そうに眺めながら、ベッドに身を横たえていた。
「うふふ」
 当然、品子も部屋に居る。
 入れ替え戦の勝利を祝う会は、後日に設けている。当然ながらその会場は“蓬莱亭”で、龍介が貸切で提供してくれることになっていた。
 チームは現地で解散し、雄太は品子をアパートに持ち帰ってきた。今日は特に、彼女を手放したくない思いが強かった。
 二人は幼馴染である。そして、その実家は隣り合っている。しかし、品子が実家から双葉大に通っているにも関わらず、雄太は部屋を借りてひとり暮らしをしていた。
 運転免許かつ軽自動車持ちの品子だから、多少大学が遠くとも、実家から通うことに不都合はない。同じ大学なのだから、それに便乗するという手もあるのだろうが、雄太はそれを潔しとはしなかったのだ。
 雄太の母親も、彼が一人暮らしをすることを強く勧めていた。
『今時の男が、一人暮らしも経験せんとって、どうするんや。しぃちゃんも、そんな甲斐性なしとは、一緒になってくれやせんよ』
 と、いまだに出てくる地方弁でまくしたてて、雄太を家から追い出した。まあ、“追い出した”というと、いささか語弊はあるのだが…。ちなみに“しぃちゃん”とは、雄太の母親が品子を呼ぶときの愛称である。
 とにもかくにも、一人暮らしを始めた雄太は、“通い妻”よろしく世話を焼いてくれる品子に感謝しつつ、これまで生活をしてきた。
 ところで今、品子のことを“通い妻”と言ったが、実は意外な事に、二人は同棲していない。確かに品子は、雄太のアパートに泊まることも頻繁にあるが、彼女は実家で起居する生活を基本としているから、同棲という言葉は全く当てはまらなかった。
 雄太の言う“お持ち帰り”とは、品子をアパートに泊める、ということである。彼女の両親は健在だから、それが何を意味するのかわかりすぎるほどわかっているであろう。もっとも、保護者公認の二人だから、それは何の障害にもなっていない。むしろ、品子をアパートに同棲させない雄太に対して、彼女の両親が“ユウちゃんは品子をもらってくれるのか?”と、やきもきしている風さえある。ちなみに“ユウちゃん”とは、品子の両親が雄太を呼ぶときの愛称である。
 二人が正式に交際を始めるのが、これまた意外に遅かったというのもあるのだろう。親の間では、冗談交じりというか半ば本気で“雄太はお隣さんのムコ”“品子はお隣さんのヨメ”という認識こそ出来上がっていたが、肝心の二人が付き合い始めたのは、実は、高校を卒業する寸前のことだった。


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