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想いを言葉にかえられなくても
【学園物 官能小説】

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想いを言葉にかえられなくても《放課後の音楽室》-1

「おい、起きろよ…放課後だって、恭介ッ、起きろって」
 んだよー、いい気持ちで寝てたのに…身体を揺さぶられて不機嫌ながら目を覚ます。
「放課後だよ。ほーうーかーごっ!」
 放課後…まだ起き抜けで働かない頭ん中を一生懸命回転させる。放課後………
「あああああッ!!!!」
「んだよ、いきなり。ビックリした…で、恭介も一緒にゲーセン行くか?」
 ニコニコと話し掛ける陸には悪いが時間が無い。慌てて鞄を掴み、ネクタイを緩め、派手な音をたてながら急ぐ。
「悪いけど部活なんだ。今日から早めに集合だって…うわぁっ!ヤバッ…じゃぁなッ!」
 振り返る事もせず、教室を飛び出し一目散に部室に向かう。
―――――
 放課後の校舎三階。階段を上がる度に大きくなる音、音、音。三階の廊下の突き当たりに音楽室が見える。向かうのは、その隣りに位置する音楽準備室。俺のパート、パーカッション(打楽器)の練習場所である。
 ―ガチャっ。ノブを回し中に入る。
「ちーす、遅くなって…」
「キョースケッ!時間が変更されて早々、遅刻とは良い度胸してんぢゃない!」
 開口一番はこれだった。髪を外ハネしているのは、俺と同じ三年…にはまるで見えないくらい童顔で…隣りのクラスのイチコ。正しくは苺という名前らしいが…。本人がメルヘン過ぎて嫌だそうな。顔はメルヘンなのに…とは言わないでおこう。
 その隣りで悠々とパックジュース…『いちごみるく』を飲んでいるのは五年生の蘭先輩。
 俺の通っている学校は高等専門学校。三年までは高校生だが、四・五年生は専門学校生。というエスカレーター式なのだ。ちなみに四年生からは私服になり通学も車が許可されている。(閑話休題)
 音楽準備室は天井まできっちり管楽器が収納出来る様になっていて、それ以外のスペースは打楽器が所狭しと占領している…から、かなり狭い。多分、10人以上がこの部屋に入るのは無理だろう。そのくらい狭い。
 パーカッションの一・二年生は奥の方でバチ打ちに励んでいるのに、先輩がこんなんで良いのかよ…と限り無く重い溜め息を吐いた。
「蘭先輩、ちゃんと練習しましょうよ」
「あら、キョースケを待ってたのに。そう言うのって部長の横暴発言よ」
 睨まれると何も言えないのは、名ばかりのパート長であるのだから仕方無し…。
「…すいません。以後気を付けます。」
「解れば宜しい。じゃあバチ打ちしましょうか。机、音楽室から持って来て。ほら動く!」
 蘭先輩がいるのに、俺がパート長なのは蘭先輩の「面倒臭い」の一言で決まってしまった事だ。蘭先輩はストレートロングの黒髪とナイスバディな迫力美人。性格は凄く自己中心的だけど…統率力、人徳、武力(笑)いろんな事において秀でていて、この人に逆らう事は絶対に無理…逆らうだけ無駄、と言うヤツだ。
 ―ガチャ
「恭介来た?あ、恭介いたんだ、遅いぞっ」
 準備室に入って来たのは部長、千鶴先輩だった。
「すいません、つい教室で寝ちゃってて遅れました。…どうしたんすか?集まりでも?」
「そうなの。今すぐ音楽室に集合。パート長会議よ。」
 ニッコリ笑って自前のフルートを棚から取り出す。部長…千鶴先輩は背が高く、蘭先輩を上回る日本人離れしたナイスバディな体付き。クオーターだかららしい。肩まで伸びた金に近い茶色のフワフワした猫っ毛が揺れている。
「パート長会議っすか…俺もでなきゃマズいっすかねぇ」
 苦笑いを漏らしてしまう。ある意味、あの会議自体が俺的にかなりキツいのだ。
「んー、恭介個人だったら別に良いんだけど。パート長会議だからね。パーカッションとして出てもらわないと…まぁ、部長の私としても会議なんて開きたくないのよねぇ。」
 彼女も苦笑いをうかべている。会議に出たくないのは俺だけじゃなさそうだ。…つまり、今回の会議は会議と言う名ばかりの……


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