想いを言葉にかえられなくても《放課後の音楽室》-2
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「もーっ、いーかげんにしてよっ！金管が変に言い掛かり付けるから話がややこしくなるんだから！」
「なっ、なにそれ！自分達の事は棚にあげて…いつまでも木管がそう言う態度だから、曲自体にまとまりが無いって言われるのよっ！」
かれこれ名ばかりの会議開始から三十分。内容は只の口喧嘩までレベルダウン。
…だから嫌なんだ。只の口喧嘩に時間をさくのは無駄だと言うものだ。
うちの吹奏楽部は去年まで男子禁制だったが、指揮者を受け持った顧問の先生が男になった事により、男子解禁となった。…それが俺の入学した時の出来事。中学時代、吹奏楽部だった俺を（どうやって調べたかいまだに謎だが）引っ張り込み、今に至った…という訳。だが、男子解禁から三年も経つのに男子は俺だけ。
つまり、現時点で五十人以上いる女子の中で俺一人。ハーレム…と言っても良いが、ほとんど奴隷的扱いを受けている。最近は、諦める事にしているのだ。
で…何をこんなに喧嘩をしているのかと言うと、まぁ一言で言えば色恋沙汰…である。お決まりの「顧問の先生がイケメンで」と言う感じで。
詳しい事は知らないけど、喧嘩の中心人物達が金管と木管のセクションリーダー同士だから質が悪い。最初は二人の喧嘩だったのに、今では金管ｖｓ木管まで広がり練習中は勿論、最近は合奏にまで響いてきている。いがみ合う音は耳に痛い。これでは後一ヶ月まで迫ったコンクールも危うい。だから、会議。で…初めに戻る。
「もーっ、なんで喧嘩になっちゃうのよぉっ！」
部長はこう言う事に疎い。全く原因が解っていないのだ。
「部長はいいから黙ってて！今日という今日は決着付けるんだから！」
「望むところよ！」
あーもー、俺…居る意味ないし。戻って練習したい…。
「キョースケッ、聞いてんの？アンタはどっちの味方なのさ！」
「そーよ、キョースケ！どうなのよ！」
こう言う時だけ息を合わせて…本当、女ってわかんねぇ。寝たふりに徹しよう。そうだ…昨日は遅くまでゲームして、あんまり寝てなかったんだっけ…。