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スプーン・ポジション
【女性向け 官能小説】

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最低のオトコ-2



なんとなくモテそうだからというノリだけで安易に選んだ服装雑貨メーカー。


今思えばあの頃は、俺みたいにのらりくらりしていたヤツでもそれなりに就職出来る恵まれた時代だったと思う。


ファッションに関するこれといった知識も営業のノウハウも全くない俺だったが、入社したからには他の奴らに見劣りしないだけの数字を上げなければならなかった。


その当時俺はまだ20代。


結果はすぐにでも欲しかったが、地道な勉強や日々の努力なんて、かったるくてとてもやる気にはならなかった。


努力は嫌いだけどキモチイイことは好き――。


そんな俺が「枕」に手を出したのは、当然の成り行きだったのかもしれない。


業界が業界だけに、取引先の仕入担当者は、どこも30代ぐらいの独身の女が多く、みんなそれなりに綺麗でおしゃれだった。


担当エリアの得意先を定期的に回るうちに俺は何人かの女と親しくなり、やがて独自の「営業活動」を行うようになっていった。


「今日――もしよかったらですけど、一緒にメシ行きません?」


「枕」に手を出す後ろめたさから、こちらの誘い口調もつい遠慮がちになるのだが、そのガツガツしない雰囲気が逆に功を奏したのか、断られることはほとんどなかった。


こういう業界でバリバリ頑張っている女というのは、「いかにもやり手」という感じのデキル男に対しては警戒心が強くガードが固いが、俺みたいなちょっと頼りない年下男には意外と気を許すことが多いのだ。


まずは事前にリサーチした旨くて雰囲気のいい居酒屋へ。
相手をリラックスさせるためにも、いきなりムードのいい店には行かず、ガヤガヤとやかましいくらいの場所がいい。


この時、仕事の話は一切しないのがコツ。


過去の恋愛の失敗談とか、好きな異性のタイプとか―――そういうしょうもない話の中に、適当なお世辞やら軽い下ネタを織り混ぜて、相手のガードを少しずつ緩めていく。


アルコールが程よく回って、気分がよくなったところでカラオケボックスへ。


カラオケは、あまり警戒心を抱かれずに個室で二人きりになれるから、洒落たバーよりもかえって都合がいい。


学生時代にバンドのボーカルをやってたことがあるから歌にはちょっと自信がある。


個室のソファーに並んで座れば、自然と親密度も高まるというもの。


女の反応を注意深く観察しながらさりげなく距離をつめていき――――肩か腰に手を回して強く拒まれなければ、もうあと一押しだ。


身体を密着させながらアップテンポな曲からバラードまでひとしきり歌って、相手の表情がうっとりしてきたところで王手をかける。


「もう少し一緒にいたいんだけど……ダメ……かな?」


急に本気モードに切り替えてじっと見つめると、それまで気を許していた女でも一瞬は身構える。


「……このまま帰るなんて……言わないよね?」


顔をゆっくりと近づけていって、相手が思わず視線をはずしそうになったところで、強引に抱きしめてすばやく唇を重ねる。


「……んっ……」


女の鼻からもれる色っぽいため息は、もうすでに自分を「メス」と意識している証だ。


一通りの恋愛経験を済ませてきたいい歳の女たちにとって、「年下男とのセックス」というのはそれなりに興味を惹かれるエサであるらしい。


俺も、女も、頭の中ではもう素っ裸になってヤることばっかり考えてる。


だけど、胸や下半身といった短絡的な性感帯にはまだ触れてはならない。


そういう生々しい行為は、女を現実に引き戻してしまうからだ。


今ここで逃げられたら元も子もない。この段階でしてもいいのは、抱きしめてキスをすることだけだ。


それだけに、ここでのキスはかなり時間をかけて入念に行う。


ありったけのテクニックを駆使して、女の唇と舌を隈無くなぞっていく。


舌先には決して力をいれずに、優しく、柔らかく、相手が腰を抜かしてメロメロになるまで、俺は全力を尽くしてとにかく敵の口だけを攻めまくる。


女の息遣いが荒くなり、恐らく濡れているであろう――――という状態になったら、あとは何も聞かずにホテルに直行だ。






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