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ガラス細工の青い春
【純愛 恋愛小説】

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-3

 少し汗をかいている圭司は、ベンチに座ると怠そうに両膝を広げ、そこに肘をついた。眩しそうに空を見上げ、おもむろに口を開く。
「清香は文系に進むんだろ?」
 ストローから口を離した清香は首を横に振り「理系だよ」と答え、またストローに食いつく。
「え、英語とか世界史とかすげー得意じゃん、文系じゃないの?」
「得意なのはそうだけど、進みたいのは理系だから」
 清香の声に圭司は頷きながら「そっかそっか、同じで良かった」と微笑み、コーラをあおる。清香も少しほっとする。後期は選択科目が増える。文系と理系では授業の半分が違ってくる。それだけ顔を合わせる時間が減るという事なのだ。
「圭司は進学するの?」
「俺は進学は無理だな、就職するつもり」
 ストローに口をやったまま「ふーん」と頷き、「三年のコースは変わっちゃうね」と横目で圭司の顔を見た。
「残念?」
「別に、そういうんじゃないけど」
 清香は耳をいじりながら半分以上残っているミルクティを飲む。圭司のコーラはもう既に空になっている。
「あ、ごめん。飲むの遅いね、私」
「俺、何気にミルクティって飲んだ事ないや、ちょっとちょうだいよ」
 暫く紙パックの表面に印刷されている、水が跳ねる絵を見つめた清香は、真顔のまま、紙パックを圭司の手に渡すと、圭司はストローに口をつけ喉を鳴らす。
「結構甘いんだな。逆に喉乾きそう」
 そう言って戻された紙パックを受け取ると、「うん」とひと言頷き、それからそのストローに口をつけていい物かどうか考え、暫く紙パックを振って気を紛らわせた。
「あ、こういうのNGだった? もしかして」
 清香は「んーん」と首を横に振ると、勢いに任せてストローに吸い付いた。首を振っただけポニーテールが揺れるのが何だかおかしくて、首を何度も振っていると「何やってんの」と怪訝気に訊かれる。
「こうやって頭を振るとね、ポニーテールが反対側に動く」
「理系だな」
 顔を合わせ、目を合わせ、笑う。眩しそうに目を細めるその笑顔は、清香のすぐ傍にある。


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