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ガラス細工の青い春
【純愛 恋愛小説】

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18-2

 辿り着いたのは、長居公園だった。圭司は後ろを歩いていたけれど、わざとらしく少しだけ距離をとっていた。公園の入り口のポールに腰掛け、こちらを見るともなしに見ているのが分かる。
 いつか話をしたベンチの前で優斗は清香と対面し、咳払いを一度した。その時点で浅黒い顔でも十分に分かる程に赤面している事が清香には見て取れる。
「清香が大学に行っても俺、休みの日とか空けとくから、だから俺とちゃんと付き合ってください」
 右手がすっと差し出され、思わず清香は吹き出した。
「そんな本格的に言ってくれなくても、もう優斗の気持ちは分かってるから」
 そう言って優斗の金色に輝く髪を、少し背伸びしてくしゃっと触った。
「私の第二ボタンは優斗」

 鞄の脇に置いた清香のバレーボールが、風の力で圭司の足元に転がって行った。「ユウ」と声がかかる。それに応じて、優斗はボタンが空になった学ランをベンチに放る。ポケットから少しだけ顔を覗かせた優斗の緑色の携帯電話には、赤い紐にくるまれた水晶のストラップが結びつけられている。
 二人の間でバレーボールが跳ね、カラフルな文字に彩られた表面がくるくると回る。ボールは地面に触れる事がなく、それでも飽きる事なく蹴り続ける二人の様子を、飽きる事なく清香は眺めていた。

 三月の春風が凪いできて、ボールを揺すり落とすまで、二人のリフティングは続いた。

FIN.


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